2019年9月14日 (土)

精神の病と遺伝子の関係(2)

『一卵性双生児』で、二人とも『自閉症』が発症する確率は30~90%、『統合失調症』では40~60%とエッセイには書いてあります。

更に沢山の家族を対象に行った『自閉症』や『統合失調症』の発症に関する研究でも、特定の遺伝子の『突然変異』『挿入』『欠落』『複製回数』などが、直接の原因であるという証拠は得られませんでした。

これらのことは『精神の病』を、『遺伝子』の特定で見つけることや、治すことが難しいことを示しています。しかし、『遺伝子』は無関係であるとも断定できませんので、この問題がいかに難しいかが分かります。

『躁鬱病』も、厄介な『精神の病』の一つで、アメリカでは1500万人の患者がいますが、20%の人たちには、『抗鬱剤』が効かないとエッセイは書いてあります。『前頭葉』に電気的刺激を与える治療法が、一部の『躁鬱病』の患者に、劇的な効果を表すことが最近分かってきました。『脳』への電気的な刺激が、『躁鬱病』の根底にある、『不安の感情』を『安泰の感情』へ変えるためと推測できますが、『どうしてそのようになるのか』の因果関係は分かっていません。電気的刺激ではなく、『脳』の特定の部位に、レーザー光を照射すると、症状が良くなる場合もあることも分かってきました。『パーキンソン病』のような難病にも効果が認められています。しかし、これも今のところ経験則による対症療法で、何故効果があるのかの理由は分かっていませんし、当然誰にも効くわけではありません。これらのことも『個性』が関与している証拠で、一律の対応方法で問題が解決できないことを示しています。

『精神の病』は、『脳の基本機能』が損なわれて起きる場合と、損なわれてはいない場合に分けて考える必要があるのではないでしょうか。

損なわれていない場合は、基本的には機能しているにも関わらず、何らかの理由で『不安』の情感を促すホルモンが分泌され続けていて、『安泰』の情感へ復帰できないことが起きていると推測できます。『躁鬱病』の多くはこれに相当するのではないでしょうか。

誰でも一時的に『不安』の情感を持つことはありますが、多くの人の場合、それを促すホルモンの分泌は、逆に『安泰』を促すホルモンで緩和され、『不安』は時間とともに薄らいでいくことになります。

つまり、『躁鬱病』の軽い症状は、程度の差はあれ誰もが体験しているにもかかわらず、幸いそれを『病気』と感じないで過ごしているだけのことではないでしょうか。

逆にいえば、不幸にしてそれが重い症状になって出てしまう『個性』のひとが、『躁鬱病』と診断されてしまうのでしょう。

『遺伝子』との関連も含め、『精神の病』の研究は、その歩みが遅いとはいえ、着実に進んでいくことでしょう。

『脳』の全貌が明らかになることは、人類にとって幸せなことかどうかは、また別の問題です。『宗教』や『芸術』で『神聖』と言われていたものの実態が明るみに出てしまうかもしれないからです。

 

 

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2019年9月13日 (金)

精神の病と遺伝子の関係(1)

『What should we be worried about ?(我々は何を危惧すべきか)』というオムニバス・エッセイ集の95番目のタイトルは『The failure of Genomics for mental disorders(精神疾患の原因となる遺伝子欠陥)』で、著者は精神科医の『Terrence J.Sejnowski』です。

『脳』の機能が関与する、『自閉症』『統合失調症』『躁鬱病』などの精神的な病については、多くの究明努力がなされていますが、現時点では単純な『因果関係』で、病因を特定したり治療したりすることに成功していません。

遺伝子が関与しているらしいことは分かっていますが、特定の遺伝子の『欠陥』が、病因であるとは単純に言えないということです。

『脳』の特定部位だけを観察しても、病因は特定できず、複数の部位を同時に観察して、機能の相関関係を見極めないと、病因は見えてこないであろうと推測できますが、そのような観察、分析技術は、残念ながらまだ確立できていません。

もちろん、生後の外部成育環境も、無関係ではありませんし、何よりも、『脳神経細胞ネットワーク』や生育環境は、一人一人異なりますから、精神的な病の背景も個性的であり、単純、一律な診察や治療が存在しないことになります。

エッセイの著者は、問題の難しさをや、解決に程遠い現状を説明し、楽観的な期待にくぎを刺しています。

私たちは、身内に『自閉症』『統合失調症』『躁鬱病』の人を抱える人を知人や友人に持っており、その悩みや生活上の負担も知っていますので、解決はまだほど遠いといわれると、心が暗くなります。

『自閉症』は、8歳以下の子供の1%に発症し、一人あたりの社会負担額は、年額320万円(アメリカの場合)で、これはその人の一生続くことになるとエッセイには書いてあります。アメリカの『自閉症』に関係する国費負担は、毎年350億円になります。

『統合失調症』は、人口の1%の割合で成人初期で発症し、一人あたりの社会負担額は年額320万年で、アメリカの国費負担は毎年330億円になります。

アメリカが、アフガニスタンに費やしていた戦費は、年額1000億円でしたから、『自閉症』『統合失調症』は、観方を変えれば、国家は他の『戦争』を同時に闘っているとも言えます。

身内の方の精神的な負担は、金額には換算できませんし、その生活にも深刻な影響を及ぼしていますから、そのことも重視しなければなりません。

『循環器系疾患』や『ガン』も、人類にとっては大きな問題ですが、病因や対応方法は、『精神的な病』よりは、まだ進んでいます。

『脳』やそれが創りだす『精神世界』の科学的な解明は、少しづつは進んでいますが、人類にとってまだまだ未知の領域です。

『宇宙』よりも、『脳』や『精神世界』の究明は、更に難しいであろうと、多くの科学者が観ています。一つの大きな原因は、『脳』や『精神世界』が個性的であることです。常に『一般論』と『各論』を併用しながら進めなければならないことになるからです。

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2019年9月 7日 (土)

ガンを発症させる要因の究明(4)

『ガン細胞』を一種の生物とみなすならば、この生物は他の生物の多くが生物進化の過程で取得しているある種の『知恵』を未だ保有していないように見えます。

多くの生物が保有している『知恵』というのは、『自分の安泰を最優先』するにしても、ある安泰のレベルが獲得できた時には、それ以上『敵』を攻撃したり、殺戮したりはしないという本能的な習性のことです。

果てしなく『安泰』のために欲望をつのらせると、反ってそれは自分を不利な状況に追い込むことになると本能的に判断することを意味します。

アフリカ・サバンナで、ライオンはガゼルの群を襲って、餌食にしますが、刹那的な食欲を満たすことが目的で、ガゼルの群を殲滅に追いこむことを目的には行動しません。

残念ながら人間という生物種は、この『知恵』を保有しているとは言い切れないところがあります。生物種の中でもっとも獰猛なのが人間かもしれません。

『ガン細胞』は、増殖を最優先しているように見えますが、これは『宿主(ホスト)』を死に追いやることにおなり、結局自分も死ぬことになります。

いつの日にか『ガン細胞』も『知恵』を獲得し、自らあるレベル以上の増殖を抑制してくれるようになれば、人間とは『共存』できるようになりますが、今のところ、人間にとってそのような都合のよいことは起きそうにもありません。

このエッセイの著者も、そのことを指摘しています。

『病気』『老い』『死』は、人類にとって『悩みの種』でした。しかし、これらは人間の力ではどうすることもできないことと『観念』して対応してきました。

『釈迦』は『悩みの種』を、『煩悩の解脱』で克服し、『涅槃(悟りの境地)』にいたる対応法を考え出しました。

その他の多くの宗教は、信仰を貫けば『死後魂は神の国に召される』と説き、『死の不安』を緩和しようとしました。

しかし、現代科学は、『病気』『老い』『死』といえども、必ずしも『どうすることもできない』ことではなさそうだという可能性を具体的に提示し始めています。

『ガンへの対応』もその可能性を高めつつあります。

人類が『ガンの撲滅』に成功し、『不老不死』も可能にすることは、『夢物語』ではなくなりつつあります。

『ホモ・デウス』という本を何回かにわたって紹介してきましたが、この本は、『ガンを撲滅』し『不老不死』をも手に入れた人類の未来を論じたものです。

個人にとっては『ガンの撲滅』『不老不死』は、永年の『悩みの種』を解消できる歓迎すべき事態であるように見えますが、『人類全体』にとって、これが歓迎すべき事態であるかどうかは、深い洞察を要します。

『自然の摂理でいきる生物』であった人間が、『人為的に摂理を利用して人工的な能力を併せ持つ生物』に変身することは、素晴らしいことというより、おぞましいことのように梅爺は感じています。

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2019年9月 6日 (金)

ガンを発症させる要因の究明(3)

『DNA』の中で、ヒトの遺伝子にかかわる情報は2%程度で、あとの98%は『ジャンク(ガラクタ)DNA』と呼ばれていました。

この話を聞いた時に、梅爺は直感的に『本当にそうかなぁ』と思いました。40億年に近い生物進化の過程で、継承されてきたものの98%が『無意味なガラクタ』であるはずがないと考えたからです。もし、不要なものならとっくに退化して消滅しているのではないかという疑問です。

最近の研究では、この98%の部分に、人間の『設計情報』が含まれていることが分かってきて、多くの科学者がこの部分を研究の対象にするようになってきました。

『ジャンク』どころか、人間を形成するうえで必須の情報であることが、判明するのではないかと期待しています。

このエッセイの著者も、『ガン』を究明する上で、この98%の部分の研究をすべきであると述べています。このエッセイが書かれたのは、約20年位前のことですから、なかなかの慧眼であると思います。

多くの研究者が、『ガン細胞』の遺伝子構造や、その性質を研究対象にしていますが、本質的なことは、『正常な細胞』を『ガン細胞』に変える最初の要因は何か(原因:種の究明)、その変化をもたらす環境は何か(土壌の究明)であろうと、この著者は指摘しています。20年後の現在、この『種』と『土壌』の問題が、どこまで解明できているのか梅爺は理解できていませんが、人類が『ガン撲滅宣言』をできる日は、まだまだ先のように思います。

60兆個ある細胞の一つが、何らかの要因で『ガン細胞』に変わり、更に増殖を開始するのが『ガン』ですが、多くは増殖する前に、『免疫機能』が働いて、『ガン』を抑制しているに違いありません。つまり、誰でも日常的に『ガン細胞』が生まれては消えていることになります。増殖に至ってしまったものは『不運』と受け入れるしかありません。

細胞の数が、10個とか100個とか言うなら『気をつけて』対応はできますが、60兆個の細胞となると、自分の意思で『気をつけて対応する』などというレベルには程遠いものになります。

基本的に『ガン』は、体内でおきている『物質世界』の事象の一つですから、『精神世界』で祈ったり、願ったりしても避けることなどできません。『品行方正』に生きていれば、『ガン』にならないなどということにもなりません。

人類が保有する『ガン』に関する知識は、一昔前に比べれば格段に多く、医療レベルも進歩しています。

『ガン』は人類の『大敵』ですが、自然界の中で『絶対安泰』などという生物はいないのですから、『大敵』を認めて、対応をするしかありません。

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2019年9月 5日 (木)

ガンを発症させる原因の究明(2)

生まれつきの『ガン細胞』が、ある時期まで『冬眠』していて、何らかの環境変化で『覚醒(発症)』するという仮説を昨日紹介しました。しかし、梅爺は寡聞にして、そのような『事実』が証明されたという話は聞いたことがありません。

それよりも、可能性の高い考え方は、『正常であった細胞』が、何らかの要因で『ガン細胞』に変貌するというものではないでしょうか。

放射能や宇宙線にさらされたときに、『正常細胞』が破壊され、それによって『ガン細胞』に変わることがあることも分かっていますし、現在では、特定の『病原体(ウィルス)』が、特定の『ガン』を発症させる要因であることも分かっています。厳密にいえば、『病原体』が、正常な『体内微生物環境』を、ガンにかかりやすい『炎症性の環境』に変えてしまうらしいことも分かってきています。

ガンの20~30%は、特定の『病原体』を慢性的に保有することに由来することも研究で分かってきました。『ピロリ菌』が『胃ガン』を発症させやすいなどという因果関係も、それに相当します。

私たちの体内には、沢山の微生物が共生で住み着いており、この存在なしでは『生きていけない』ことも分かっています。この微生物の種類は1万種にものぼるということですから驚きです。更にこの微生物の数は、私たちの細胞の数(60兆個)の10倍にもなるということですから、唖然としてしまいます。『腸内フローラ』はその一部です。

普段私たちは、自分以外の『生物(微生物)』によって『生かされている』などと実感はしませんが、現実は、『自分だけで生きている』わけではありません。

生物進化の過程で、生物同士の『共生』が実現し、継承されてきた証拠です。人間も例外ではありません。私たちの『細胞』のなかにある『ミトコンドリア(小容体)』も、元はといえば、独立した『単細胞生物』であったものが、他の『単細胞生物』に取り込まれ、『共生』するようになったものです。

『ミトコンドリア』なしには、人間の生命活動は維持できませんから、これも『共生』で『生かされている』と言える事象の一つです。

人間は『神によって創られた特別な存在』と信じていた近世以前の人たちが、『人間は下等な微生物の力を借りなければ生きていけない』などということを知ったら、腰を抜かすかもしれません。

私たちの体内で『共生』している微生物の全てが、私たちの『生命活動』に有益に貢献しているわけではなく、中には、好ましくない『悪玉』も含まれています。

この『悪玉』が、『ガン』の発症に、何らかの関わり合いを持つのではないかと容易に推測できます。

このエッセイの著者は、『ガン細胞遺伝子構造』の特定も重要ですが、更に体内微生物と『ガン』の関係を明らかにする研究が重要であると主張しています。因果関係が判明すれば、対応策も見えてきますから、これは一理ある主張です。

体内微生物の研究は、最近主流になりつつありますから。『ガン』との関係も色々判明することになるのではないでしょうか。 

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2019年9月 4日 (水)

ガンを発症させる原因の究明(1)

『What should we be worried about ?(我々は何を危惧すべきか)』というオムニバス・エッセイ集の94番目のタイトルは『Current Sequencing Strategies ignore the Role of Microorganisms in Cancer(ガン細胞の遺伝子構造特定戦略優先で、ガンと関係する体内微生物の研究がおろそかになっている)』で、著者はコロンビア大学の薬学教授『Azra Raza』です。

著者は、40年間ガン治療の研究に従事してきた医学者です。ガン細胞の遺伝子構造が、正常な細胞の遺伝子構造からどのように『変わっているか』を特定する努力が、最近の研究の中心になっていることを危惧しています。

確かにガンは、正常な細胞遺伝子構造が、突然変異でガン細胞遺伝子構造に『変わる』ことで発症する病気ですが、『何が突然変異を起こす要因になっているのか(種)』や『どのような体内環境が突然変異やその後の増殖を助長するのか(土壌)』を追究することが本質であろうという主張です。

ガン細胞の遺伝子構造を特定することは『結果』の特定で、『原因』の特定にはならないという主張ですから、一理があります。

最初に著者は、ガン治療の分野が、どのように変遷してきたかを解説しています。

1970年代は、『化学療法』中心の時代で、『特定薬』が、ガン増殖の抑制に効果的であり、更に『補助薬』を併用することで効果が倍増することが判明しました。

1980年代は、ヒトゲノムの解明が急速に進んだ時代で、ガン細胞の遺伝子構造のマップが作成され、抗体を用いた免疫療法が主流になりました。

ガン細胞の遺伝子構造と、正常な細胞の遺伝子構造の違いを明らかにすることで、ガンに関する理解が進み、放射線治療などの治療法も現れました。

このように、遺伝子構造の違いを明らかにすることばかりが、研究の主流である風潮が続いていて、ガンを最初に発症させる病原体や、突然変異を起こさせやすい体内環境についての研究がおろそかになっていることが、この著者の危惧する所です。

男性の2人に1人が、生涯でガンにかかり、女性の3人に1人が同じく生涯でガンにかかるという統計もあります。現代人にとって、ガンは決して珍しい病気ではないとも言えます。梅爺も昨年大腸ポリープの一つにガン細胞が見つかりました。

ガンは正常な細胞の遺伝子構造が、ガン細胞の遺伝子構造に変貌することで発症する病気であることは明白です。

問題は、この変貌が、どのような要因でもたらされるのかということです。

可能性は色々考えられますが、一つは、『生まれつきガン細胞遺伝子構造を保有する細胞』を持っていたという考え方です。しかし、そのガン細胞は、ある時期まで『冬眠』状態にあり、何らかの体内環境の変化で、『覚醒』するという仮説です。遺伝的にガン体質の人がいるという考え方は、これに合致します。 

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2019年9月 3日 (火)

遺伝子の異常発生が増えている(6)

人のDNAは、基本的には両親のDNAを利用した受胎時の偶発的組み合わせで決まりますが、それ以外に両親に由来しない新規の『資質』を平均的に80~100個保有するようになることが報告されています。

この新規の『資質』が、幸運にも『天才』を生み出す要因になることもありますが、不幸にも『難病』や『精神障害』をもたらすことにもなりえます。

大半の人にとっては。その新規『資質』は、それほどの大きな影響を及ぼさないために、本人も周囲も気づかずに看過しているだけのことです。

受胎時に正常でない『資質』を保有するようになってしまう人や、生後の何らかの環境で正常でない『遺伝子』情報を保有するようになってしまう人の人口比率が増えつつあるということが確かなら、このエッセイの著者が指摘するように、科学的な『因果関係』を明らかにする努力が必要です。

生物進化の中でも、ある確率で『突然変異』や、それによる『難病の発症』は起こりえますので、そのような『自然選択』の要因ではなく、何らかの時代環境に由来する要因によって、遺伝子の異常変化が『増えている』かどうかの見極めが重要です。

両親に由来しない新規の『資質』を、80~100個保有することになるのは、何故なのかもそカラクリを解明する必要があります。

難病の苦しみから人類を解放するという視点で、『DNA』に関する研究や、正常な『細胞』を取り戻すための医療手段には期待がたかまりますが、それは裏を返せば人工的に『天才』を創出する手段にもなりかねません。

人類の大半が、『凡人』から『天才』へ変貌してしまうという状況は、素晴らしいというより、何やらおぞましいことになるような予感がします。

『能力差』や『格差』で、人間の基本的な扱いを変えてはいけないという、約束事としての『価値観』が、先進国社会には定着していますが、それは逆にいえば、現代社会は、『能力差』『格差』を暗黙の前提として、成り立っているということです。

『試験』で、人選がなされますし、高い能力は、スポーツや芸術の世界では、高い評価の対象になります。優れた科学者には『ノーベル賞』が授与されます。

しかし、大半の人たちが、人為的な遺伝子操作によって、『天才』レベルの人間に変身すれば、現状の社会を維持している、『価値基準』が崩れ去るからです。

遺伝子の異変の影響を、阻止する方法を人類が見出すということは、思いもよらない新たな問題を人類は抱え込むことになります。

少なくとも梅爺は、人為的な手段で、自分を『凡人』から『天才』に変身させたいとは思いません。

『凡人』であるが故に、泣いたり笑ったりしている自分に愛着を感じています。『天才』に出会えば、驚愕し、尊敬はしますが、嫉妬の対象として観ることはありません。

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2019年9月 2日 (月)

遺伝子の異常発生が増えている(5)

DNAは、外見は二重らせん構造の高分子物質ですが、これを4種の塩基を文字コードとした『情報表現媒体』という視点で観ると、それを保有する人の『基本設計情報』であり、『人体生成指示書(プログラム)』であるということになります。

このカラクリは、コンピュータのプログラムによる『情報処理』と極めて似ています。コンピュータによる『情報処理』は、近世以降に人類が確立した手法ですが、40億年前に地球上に出現した『生命体』の中には、このカラクリが既に存在していたという驚くべき話です。人類が地球上に出現するずっと前から『物質世界』には『情報処理』の概念が存在していたということにほかなりません。

コンピュータは基本的に『1』と『0』という2種の文字コードを利用した『情報表現』『情報処理』を行っていますが、人間の身体は、DNAによる4種の塩基を文字コードを利用した『情報表現』『情報処理』を行っているということです。

DNAに記述されている情報の内で、『遺伝子情報』といわれるものはたった2%程度で、残りの98%は、『なんのために存在するのか分からない無意味な存在』と従来言われてきました。それゆえに、この98%の部分は『ジャンク(ガタクタ)DNA』などとも呼ばれてきました。

この話を初めて聞いた時に、梅爺は『そんなはずはない』と直感的に感じました。40億年かけて進行してきた『生物進化』で、98%もの『無意味なもの』が継承され続けることなどあろうはずがないと感じたからです。もし本当に『無意味なもの』ならば、とっくに退化して消滅しているに違いないと考えたからです。

案の定、最近になってこの『ジャンクDNA』はジャンクどころか、人間の身体を生成したり、維持したりする上で重要な『情報』を包含しているらしいことが判明し始めました。

たとえば、『鼻の高さ』を指示する情報が含まれているといったことが分かってきました。

『ジャンクDNA』の役割が、詳細に解明されれば、DNAによって、その人の体格、要望までも『復元』できるかもしれないという話です。

更に『自閉症』なども、この『ジャンクDNA』が関与しているらしいことも分かってきました。『ジャンクDNA』の解明で、脳科学は格段の進展をみるかもしれません。

人間の身体の中で、『細胞』が『再生成』される時には、必ず『DNA』がコピーされて受け継がれます。しかし、『DNA』の内容の一部が、環境要因によって(たとえば放射能が照射されるなど)突然変わってしまったり、コピー時に『ミススペル』が発生するなどの『不都合』を完全に排除できません。

これによって、『ガン』が発症したり、難病と言われる『病気』に生まれつきかかってしまう人や、突然かかってしまう人が出現します。『iPS細胞』を利用した、『正常な細胞』を取り戻す医療に期待がかかるのはこのためです。 

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2019年9月 1日 (日)

遺伝子の異常発生が増えている(4)

『一つの遺伝子情報』を中枢部に配置し、それを全ての機能が参照しながら稼働する『システム』は、『集中制御』方式と呼ばれます。

一方、人間の身体のように、60兆個の『細胞』が、それぞれ『同じ遺伝子情報』を保有して、自律的に稼働する『システム』は『分散制御』方式と呼ばれます。

人間の身体は、膨大な数の『細胞』が『分散制御』で稼働していますから、『超自律分散システム』といってもよいでしょう。

人間が創りだした人工的な『システム』の中で、『超自律分散システム』に近いものは『インターネット』です。無数の自律的な『サーバー』が、ネットワークの中で連携して全体が成り立っています。『インターネット』には『中枢制御部』はありません。一方『パソコン』などの『コンピュータ』は、『集中制御』方式が採用されています。『CPU』が中枢制御を担当しています。

一概に『分散制御』は『効率が悪い』とは言えませんが、『あるべき姿』を実現するには『集中制御』が適していると言えます。しかし、『集中制御』では『中枢部』が機能しなくなれば『システム』は維持できませんので『脆弱』であることになります。『分散制御』は、部分が機能しなくても、全体がそれで機能しなくなるとは言えませんので比較的『強靭』ですが、全体として『システム』がどうなるかは見通すことが難しくなります。

人間の身体が、何故『分散制御』になっているかは、40億年をかけた生物進化の過程で、自然選択された結果ですから、『偶然そうなった』ということに他なりません。『神』が設計選択した方式とは言えません。

人間の身体で、一部に『ガン』が発症し、全体を脅かすのは、『超自律分散システム』であるが故の宿命ともいえます。『インターネット』が『ウィルス』に脅かされるのも同じことです。

人間の『細胞』の核内には、23X2(計46)個の『染色体』が格納されていて、この『染色体』の中に、『DNA(二重らせん構造)』とよばれる高分子物質があり、『DNA』の一部に『遺伝子情報』が、4種の『塩基』を文字のように用いて記述されています。

男女ともに、22対の『染色体』は、『常染色体』で同じですが、残りの1対の『染色体』は『性染色体』で、男は『XX』、女は『XY』と構成内容が異なっています。

『卵子』は、『性染色体』の半分が創りだした単独細胞で、資質は『X』に限られますが、同様に『精子』は『性染色体』の半分が創りだした単独細胞で、資質は『X』か『Y』かに分かれます。

『X』の資質をもつ『精子』が『卵子』と結び付けば『女の子(XX)』が、『Y』の資質をもつ『精子』が『卵子』と結び付けば『男の子(XY)』が生まれるという仕組みです。

なんとも巧妙な仕組みを生物進化が実現しています。『物質世界』の『摂理』は、男女が産まれる確率を、平等に設定していることになります。これが『両性生殖』の仕組みです。

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2019年8月31日 (土)

遺伝子の変異発生が増えている(3)

生物進化の過程の中で、ある統計的確率で『突然変異』の資質が子供に発現することは、分かっていましたが、それとは異なり、社会環境が『突然変異』を発現させる確率を高めているとすれば、それは生物進化と切り離して考えるべき問題になります。

しかし、人間社会に『突然変化』の発現が増えれば、それは永い目で観れば、人類の生物進化にも影響を与えることになります。この複雑な関係を私たちは理解しなければなりません。

今のところ、『両親の高齢化』がなぜ『精子』『卵子』の質の劣化をもたらすのか、社会環境のどの要因が『精子』『卵子』の質の劣化をもたらすのか、科学的な『因果関係』の特定はできていないような気がします。

『人工的な電磁波(電波)にさらされている』『生きる上でのストレスが増えている』などと、その要因を推測はできますが、定量的にその『因果関係』は証明できていないということです。

更に、これらの事象は『個人差』があることですので、統計的に『因果関係』を立証する必要があります。個人に『ガンが発症する』という事象と、社会の『ガン発症率が高まっている』ということは、相関関係はありますが、そうであるからといって誰もが『ガンになる』わけではありません。

私たちの身体は、基本的には受胎時に決定した『遺伝子情報』に基づいて形成されています。もちろん、生誕後の、生活習慣などで、身体の状態は変わりますが、基本的な『設計図』は、『遺伝子情報』で付与されていることになります。

人間の身体は、約60兆個の『細胞』で構成されていて、その『細胞』は原則的に新陳代謝で『死滅』『生誕』を繰り返しています。全体としての梅爺は『生きて』いますが、梅爺の中では日夜無数の『生死』が繰り返されていますから、昔の梅爺と現在の梅爺では別の『細胞』で形成されているという不思議な話です。梅爺の『細胞』は黙々と『物質世界』の『摂理』に則って、生命活動を維持しているだけで、死を悲しんだり、生誕を喜んだりはしていません。自分の中で展開されるこの膨大な別世界に、梅爺は唖然とするだけで、『御苦労さん』というほかありません。

更に驚くべきことに、梅爺の60兆個の『細胞』は、元はといえば両親の『精子』『卵子』というそれぞれ1個の『性細胞』が結合することから、『細胞分裂』が開始され、現在に至っているということです。

そして、更に驚くべきことは、梅爺の60兆個の『細胞』は、全て『同じ遺伝子情報』を保有しているということです。

工学技術者であった梅爺が『システム設計』をするならば、このような効率の悪い方法は採用しないに違いありません。『一つの遺伝子情報』を、中枢に配備して、それを、全ての機能が参照するように設計するでしょう。

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