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2020年1月25日 (土)

江戸の諺『尻持って来る』

江戸の諺『尻持って来る』の話です。これは現在でも使われる表現で、『面倒なことの後始末をさせられる』という意味になります。もう少し直接的な表現では、汚い仕事をおしつけられるということで『尻ぬぐいをさせられる』になります。

物事がうまくいっている時には、誰もが自分の手柄のように得意げに振舞いますが、一旦事がうまく運ばなくなると、『これは元々お前が始めたことだから、自分で始末をつけろ』などと『尻持って来る』ことになります。

『嫌なこと』はできるだけ避けようとするのが人間の心理です。『安泰を希求する本能』が根幹にあるからです。

梅爺もこの性格が強く、子供のころは夏休みの宿題を、切羽詰まるまで放置する癖がありました。英語では、この『先延ばしにする』という行為を『concrastinate』という一つの単語で表現することを前に知り、ブログで紹介したことがあります。

しかし、世の中は梅爺のように、『先延ばし癖』のひとばかりではなく、『嫌なこと、気がかりなこと』から先に処置してしまう方も沢山おられます。

これも『嫌なこと、気がかりなこと』を放置することが『安泰を脅かす』と感ずることがそうさせるわけですから、『安泰を希求する本能』に由来することには変わりはありません。つまり、何を優先するかの『価値観』が違うということです。誰も自分を弁護したくなりますから、『腰の重い人』は、『腰の軽い人』を『せっかち』と呼び、『腰の軽い人』は『腰の重い人』を『ぐず』と呼びます。

しかし、公平に観て『腰の軽い人』最の方が、『ストレス』を貯めこまないという意味で、健全な生き方のように思います。

梅爺は、40歳から50歳までの10年間、毎年『青梅マラソン』に参加していましたが、このころは、日ごろのジョギングをトレーニングとして欠かさないようにしていました。その時の体調や、天候などでジョギングに出かけるのが『億劫』と感ずる日もありましたが、自分を鼓舞して続けていると、結果的に『達成感』『満足感』が得られるという実感を体験でき、その頃は自分の悪い『先延ばし癖』を克服しようと、仕事も『嫌なこと』を先にこなすような努力をしていました。

しかし、仕事をリタイアした今では、すっかり『先延ばし』爺さんに後戻りしてしまっています。

『尻持ってこられる』のは、ネガティブに考えれば悪い役回りを引き受けさせられるということになりますが、ポジティブに考えれば『この難局はあなたしか対応できない』という周囲の期待の表れでもありますから、見事にこなせば、周囲から更に尊敬され、一目おかれる人物になれるチャンスなのかもしれません。

世の中は『お互い様』『持ちつ持たれつ』ですから、『尻持ってこられる』のも時に『災い転じて福となす』ということになる可能性がないわけではありません。『お人よしを振舞う』『馬鹿を振舞う』のも賢い生き方かもしれません。

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