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2019年9月 4日 (水)

ガンを発症させる原因の究明(1)

『What should we be worried about ?(我々は何を危惧すべきか)』というオムニバス・エッセイ集の94番目のタイトルは『Current Sequencing Strategies ignore the Role of Microorganisms in Cancer(ガン細胞の遺伝子構造特定戦略優先で、ガンと関係する体内微生物の研究がおろそかになっている)』で、著者はコロンビア大学の薬学教授『Azra Raza』です。

著者は、40年間ガン治療の研究に従事してきた医学者です。ガン細胞の遺伝子構造が、正常な細胞の遺伝子構造からどのように『変わっているか』を特定する努力が、最近の研究の中心になっていることを危惧しています。

確かにガンは、正常な細胞遺伝子構造が、突然変異でガン細胞遺伝子構造に『変わる』ことで発症する病気ですが、『何が突然変異を起こす要因になっているのか(種)』や『どのような体内環境が突然変異やその後の増殖を助長するのか(土壌)』を追究することが本質であろうという主張です。

ガン細胞の遺伝子構造を特定することは『結果』の特定で、『原因』の特定にはならないという主張ですから、一理があります。

最初に著者は、ガン治療の分野が、どのように変遷してきたかを解説しています。

1970年代は、『化学療法』中心の時代で、『特定薬』が、ガン増殖の抑制に効果的であり、更に『補助薬』を併用することで効果が倍増することが判明しました。

1980年代は、ヒトゲノムの解明が急速に進んだ時代で、ガン細胞の遺伝子構造のマップが作成され、抗体を用いた免疫療法が主流になりました。

ガン細胞の遺伝子構造と、正常な細胞の遺伝子構造の違いを明らかにすることで、ガンに関する理解が進み、放射線治療などの治療法も現れました。

このように、遺伝子構造の違いを明らかにすることばかりが、研究の主流である風潮が続いていて、ガンを最初に発症させる病原体や、突然変異を起こさせやすい体内環境についての研究がおろそかになっていることが、この著者の危惧する所です。

男性の2人に1人が、生涯でガンにかかり、女性の3人に1人が同じく生涯でガンにかかるという統計もあります。現代人にとって、ガンは決して珍しい病気ではないとも言えます。梅爺も昨年大腸ポリープの一つにガン細胞が見つかりました。

ガンは正常な細胞の遺伝子構造が、ガン細胞の遺伝子構造に変貌することで発症する病気であることは明白です。

問題は、この変貌が、どのような要因でもたらされるのかということです。

可能性は色々考えられますが、一つは、『生まれつきガン細胞遺伝子構造を保有する細胞』を持っていたという考え方です。しかし、そのガン細胞は、ある時期まで『冬眠』状態にあり、何らかの体内環境の変化で、『覚醒』するという仮説です。遺伝的にガン体質の人がいるという考え方は、これに合致します。 

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