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2019年8月 3日 (土)

『神道主義』と『人道主義』(3)

『物質世界(自然界)』の事象を解明するようになった『科学』は、『物質世界』は、有限の数の素材で構成され、『摂理(法則)』によって、絶えず新しい平衡状態へ移行しようと『変容』しているだけにすぎないことを明らかにしました。その『変容』は、『目的』『理想』『あるべき姿』『意図』とは無縁なものであることも分かってきました。

『物質世界』には『神』の存在や居所を求めることは難しく、事象は『神』の関与なしに起きていることも分かってきました。

そして、『神』と切り離して『人間とは何か、自分は何者か』を思索する風潮が高まりました。『パスカル』『デカルト』『ジャン・ジャック・ルソー』などの思想が、『人道主義』の基盤を形成していき、ついに哲学者の『ニーチェ』は『神は死んだ』と宣言しました。

現代の『人道主義』は、以下の五つの『価値観』を基盤にしていると『ホモ・デウス』の著者は分析しています。

A 政治的価値観 選挙民は何が最善かを知っている
B 経済的価値観 消費者はいつも正しい
C 審美的価値観 鑑賞者が美しいと感ずるものが美しい
D 倫理的価値観 それが良いことだと感じたら、実行してよい
E 教育的価値観 自分で考え判断せよ

もちろん『ホモ・デウス』の著者は、皮肉をこめて上記の五つの『価値観』を提示しています。『人道主義』にも多くの『矛盾』が内在していることは、すぐに気付きます。このような『価値観』で皆が行動すれば、社会の問題は解決されるとも思えません。

『神道主義』が、『神』への『信仰』を基盤としていたのと同じで、『人道主義』も、その考え方に対する『信仰』を基盤にしていると『ホモ・デウス』の著者は言いたいのでしょう。

梅爺流に『人道主義』を観れば、これは『民主主義』『自由経済主義』などと同じく、『個』と『全体』が抱える基本的な矛盾に、対応するために考え出された、一つの『便法』であって、『金科玉条』に『信仰』の対象にするものではないということです。

何度もブログに書いてきたように、人類は『個』と『全体』が抱える基本的な矛盾を、普遍的に解決する方法や知恵は持ち合わせていません。人類が存在する限りこの矛盾は解消できないのではないでしょうか。

『個』と『全体』の問題を考える基盤は、『人間』がどのように生物進化をしてきたかを考えることです。以下がその要件です。

イ 『個』は自分の安泰を希求する本能で行動する(本質的に利己的)
ロ 『個』は、肉体的にも精神的にも、宿命的に個性的である(両親からの多様な遺伝子の偶然組み合わせ継承)。
ハ 『個』は『群(全体)』で生きる方法を選択した(時に利他的に行動することがある)。

個性的な『個』が集まって『群(全体)』を形成して生きるために生ずる『矛盾』が、人類にのしかかってきますが、解決の方法は見当たりません。

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