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2019年8月11日 (日)

江戸の諺『皮引きゃ身がつく』

江戸の諺『皮引きゃ身がつく』の話です。現代ではあまり使われない表現のような気がします。

皮を引っ張れば肉も一緒についてくることから、密接な関係にあるものは、どちらかに利害が発生すれば、もう一方にも影響がでるという意味になります。『皮引きゃ肉が痛い』という似たような表現もあったようです。

想定していなかった思わぬところに影響が及ぶというようなことは、体験したこと、見聞きした経験は誰にもありますから、『物事をうわべだけでみて行動するのは慎みなさい』というような教訓が含まれているのでしょうか。

しかし、世の中の事象、自然界の事象は、『皮と肉』といった単純な要素で構成されていません。自然界(物質世界)の事象などは、極端にいえば、『全ての要因が関連している』ということになりますから、人間の能力では、正確に『見通す』ことができません。

『スーパー・コンピュータ』による『シミュレーション』では、人間の能力では及ばない『予測』を可能にしていますが、それでも『関連する要因』は、『全て』ではなく、影響力が大きそうな有限の要因だけを選んで、その他の要因の影響は『無視できる』という前提で計算は行われます。

『天気予報』は、この結果昔より『当たる確率』が飛躍的に向上しましたが、それでも『はずれる』ことがあるのは、全ての要因を組み入れた『シミュレーション』でないからです。2500年前に『釈迦』は、『全てがつながっている』ことの本質を『縁起』という言葉で表現しました。見事な洞察で、現代の科学も同じ認識で『物質世界』を捉えています。しかし、『全ての要因』を加味した『予測』は、現代の科学でもできません。それでも影響力が高いと思われる有限の要因を選択して、『予測』を行う精度は、飛躍的に向上しています。『小惑星探査機』を目的の『小惑星』まで送る軌道計算は、有限の要因で、ほぼ正確に可能ですが、途中で、予期せぬ他の『小惑星』と衝突して破壊されてしまう、可能性を正確には見通せません。科学者は、そのようなことが起こる可能性の『確率』計算をして、後は『無事を祈る』ことになります。

人間社会の『政治』や『経済』などの事象は、それにかかわる多数の人間の、『精神世界』の価値観が要因で展開しますから、これも全ての要因を加味した『予測』は、人間には不可能です。

『しっかり議論をして、国民の合意を得た政策を実行する』などと『政治家』は軽々しく発言しますが、『しっかりした議論』も『国民の合意』も、『言葉』にすぎません。

『主張』の無い人が集まって『議論』してもても、『小田原評議』になるだけです。論理的に自己主張のできる人が、議論をすることで、より矛盾の少ない『予測』が可能になります。『リーダー』はこのような資質を備えた人でなければなりません。 

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