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2019年8月12日 (月)

科学が『パンドラの箱』を開けてしまった(1)

『ホモ・デウス』という本を読んでいて、少し大袈裟ですが『科学はパンドラの箱を開けてしまった』という表現を思いつきました。

『パンドラの箱』は、御存じのとおり『ギリシャ神話』に由来します。人類初の女性『パンドラ』が、開けてはならないとされていた箱を、禁を破って開けてしまったために、箱から『苦しみ』『病気』などの『災い』が流出し、この世に蔓延するようになったという話です。

なぜこの世には、『苦しみ』『病気』などの『災い』があるのかを、古代の人たちは、このような虚構の『因果関係』で納得しようとしたことになります。

同じく『釈迦』は、『なぜ生きることは苦しいことなのか』という問いを思索し、その原因を人の中に巣くう『煩悩』と特定しました。

人間の『精神世界』の根底に『安泰を希求する本能』があり、『分からないこと』を放置することは『安泰を脅かす』ことになりますから、何としてもある『因果関係』を考え出して安堵しようとします。

この習性は、古代の人たちも私たちも同じです。『精神世界』はこのように自由奔放に、虚構の『因果関係』を創出することが特徴です。

『パンドラの箱』も『煩悩』も、聖書の『天地創造』も、この習性が創りだしたものです。

私たちは、上司や教師から『叱られた』時に、『自分を認めてくださるからこその愛の鞭である』などという都合の良い『因果関係』で、自分を納得(安堵)させようとするのもこの習性が関与しています。

『ホモ・デウス』という本では『パンドラの箱』ではなく、『ブラック・ボックス』という言葉が使われています。

『ブラック・ボックス』は、あるものが存在し、機能していることは認識できても、その『中身』がどのような『カラクリ』や『法則』で構成されているかは、『分からない』ときに使う言葉です。

現代人は、当たり前のように『コンピュータ』『スマート・フォン』『テレビ』を使いこなしていますが、その中身がどのような『カラクリ』や『法則』で動いているのかは、ほとんどの人が知りません。もちろん、設計者や技術者は、それを『知って』いますが、利用者のほとんどにとっては、それらは『ブラック・ボックス』です。

近世の『科学』の時代になる以前の時代では、人々にとって『宇宙』や『生命』や『人間』は『ブラック・ボックス』でした。

その存在や、機能していることの一部は表面的に認識していましたが、『中身』の『カラクリ』や『法則』は理解しえなかったということです。

人々は、『ブラック・ボックス』に関して、『神話』や、『宗教』が提示する『説明』を『信じて』いました。それ以外の対応は考えられなかったからです。『宗教』が重要な役目を果たすことができたのはそのためです。

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