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2018年12月 9日 (日)

梅爺創作落語『極楽詣で』(11)

(八五郎)『この話を万福寺の和尚にすべきでござんしょうかね』
(ご隠居)『極楽の阿弥陀如来様のご希望では、八っつぁんに、この世で本当の話を広めてほしいということでしたな』
(八五郎)『へぃ、安請け合いしてしまい後悔しているんですよ』
(ご隠居)『これはあくまでも私の了見ですが、和尚に話しても、全く聞く耳を持たんでしょうな。少なくとも、今すぐ話をするのはやめた方がよかろうのぉ』
(八五郎)『あの和尚は石頭ですからな』
(ご隠居)『いや、石頭というよりは、人間というものは誰でも一度思い込んだことを変えることは難しいもんですよ。特に和尚は、若い時からの修行で、仏のこと、極楽、地獄なんぞといったあの世のことを沢山学び、頭へ叩き込んできましたから、その考え方は、ちょっとやそっとでは変わらんfでしょうなぁ』
(八五郎)『あっしも、それがちょいと気になっていたんですよ』
(ご隠居)『とりあえず極楽があることがわかったのは良いとして、地獄はない、如来、菩薩、明王、天部などは、お釈迦様の教えとは関係がない、などと聞いたら、腰を抜かすというより、大いに立腹するんじゃありませんか』
(八五郎)『あっしの観てきた極楽は、人は死ねば誰でも行けるところでしたから、こんなことが分かっちまったら、地獄へ落ちる恐れを誰も抱かなくなり、お寺へお布施を届けること人も減って、和尚としてはおまんまの食いっぱぱぐりになっちまいますからな』
(ご隠居)『地獄へ落ちたくなかったら、この世で功徳を積め、つまりお布施を払えというのが和尚の決まり文句ですから、たしかに地獄がないというのは、和尚には困ったことになりますな。ただ、お前さんの話によると、先祖を供養することは大切で、それがないとあの世の霊者が、盆に里帰りできないということでしたから、先祖の供養には和尚が必要かもしれませんな』
(八五郎)『しかしよく考えてみると、この世の人たちが、先祖を供養しなくなったりして、誰の頭にも先祖の思い出がなくなってしまったら、あの世の霊者は誰も里帰りできなくなり、この世とあの世の関係は全く途絶えることになりませんかなぁ』
(ご隠居)『でも、八っつぁんのところへ現れた又兵衛さんは、お前さんの遠い祖先で、お前さんの思い出にはないお人じゃないのかい』
(八五郎)『そう云われればそうですな。まあ、身内や知り合いで先に死んだ者があるなら、その人の思い出が生きてる人の頭にある限り、とにかく供養しろということですな。極楽では霊者同士の関係は皆心得ているようですから、先祖の関係をたどって、遠い先祖も里帰りできるということですな』

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