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2018年12月 6日 (木)

梅爺創作落語『極楽詣で』(8)

(阿弥陀如来)『それでは、後のことは又兵衛さんにお任せしますよ』
(又兵衛)『かしこまりました。八五郎さん、せっかく極楽へいらっしゃったのですから、ひとつご両親に会っていかれてはいかがですか』
(八五郎)『おとっつぁんが亡くなったのは10年前、おっかさんは8年前ですから、もし会えるならそいつはうれしいですな。ろくに親孝行はできなかったこともこの際詫びてぃと思います。しかし、又兵衛さん、極楽へきてから姿が見えたのは、又兵衛さんと阿弥陀如来様だけで、外の霊者の方々の姿はどこにもみえませんが、いったいどこにおられるのでしょうな』
(又兵衛)『極楽では、この世で縁があった者同士だけが、以心伝心で集い、お互いの姿も見ることができます。そうでもしないとここには大昔からの霊者が数え切れないほどおられますから、もし皆姿が見えていたら煩わしいことになりますからな』
(八五郎)『それで、姿が見えるもの同士は、話もできるということなのかい』
(又兵衛)『それは、私と八五郎さんがこうして話をしていることでもお分かりでしょう。それでは目を閉じてご両親に会いたいと念じてみてください』
(八五郎)『なんだか狐につままれたような気分だが、やってみましょうかね』

(又兵衛)『はい、目を開けてみてください。ここにご両親がおられます、今までのいきさつは伝えてありますから、すでにご存じです』
(八五郎)『これは、おとっつぁん、おっかさんおなつかしゅうございます。また会えるなんて思いもしませんでした。親孝行したいときには親はなし、なんていいますが、世話ばかり掛けて何も恩返しできなかったことを悔やんでおります。どうか勘弁してください。おとっつぁんもおっかさんもお変わりのない様子で安心いたしやした』
(おとっつぁん)『極楽の霊者に向かってお変りもないはないだろう。ここでは変わるなんてことはないんだよ。それよりもお前が日ごろ先祖を大切に供養してくれるおかげで、わしらは毎年盆には、里帰りしてお前の元気な様子を蔭ながらみて感謝していたんだよ。礼をいうのはわしらの方だよ』
(八五郎)『畏れ入ります。次の盆も楽しみにお待ちします』
(おっかさん)『ところで八五郎、お前まだ独り身なのはよくありませんね。そろそろ身を固めたらどうなんだい』
(八五郎)『これはおっかさん、極楽でお説教でございますか。そいつぁ、あっしも身を固めたいとは思いますが、何しろ貧乏な大工職人のところえ嫁にこようなどという娘はそうはいないんですよ』
(おっかさん)『お前のカンの鈍いのにはあきれるね。近所にお前に恋焦がれている娘がいることに気づかないのかい』

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