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2018年12月21日 (金)

犯罪で形成された国家(1)

『What should we be worried about ?(我々は何を危惧すべきか)』というオムニバス・エッセイ集の79番目のタイトルは『Classic Social Sciences' Failure to Understand  "Modern" States Shaped by Crime(古典的な社会科学では現代の犯罪で形成された国家は説明できない)』で、著者は哲学、政治科学の専門家で企業経営者でもある『Eduardo Salcedo-Albaran』です。 

古典的な政治科学では、神や王の意思を基盤とする中世の王国の後に、近代の大衆を中心とする自由主義的な国家が出現した、ということになっています。 

これらの近代国家は、社会福祉や個人の自治権を保護する、大衆が認める法律で維持されていて、多くの西欧国家は民主主義、公平な法、人権の保護を採用しています。そして、これが近代化を推進する要因になっているという説明がなされてきました。 

しかし、近代国家の中のいくつかは、犯罪を基盤に形成され、犯罪者が法を公布し、しかもひどいことには、形式的な民主主義でそれらが正当化されています。 

このように、古典的な政治科学で論ずる対象にならない、国家について我々は危惧すべきである、というのがこのエッセイの著者の主張です。 

著者は、アフリカや中南米の国家を具体的に名指しして、この問題を論じていますが、梅爺の脳裏にすぐ浮かぶのは、『中国』や『北朝鮮』です。

しかし、『中国』や『北朝鮮』の国家体制が出来上がった歴史的な経緯を考えると、必ずしも犯罪が基盤であったとはいえませんから、梅爺の直感は、現在の『中国』『北朝鮮』の指導者を『いかがわしい』と個人的に感じている故の反応で、このエッセイに対応させて論ずるには適切ではないと、すぐに思いなおしました。

このエッセイが対象にしているのは、『犯罪組織』や『麻薬の密売組織』などが、その国家の指導者、議員たちそれに官僚を、『賄賂』や『弱みに付け込んだ脅迫』で操るという、実に程度の低い話です。見かけ上は民主主義の体裁を装いながら、『犯罪組織』を有利に利する法案が成立したりするということになります。

しかし、これは極端な話で、どのような民主主義国家にも、程度の差はあれ、これに類する話がないわけではありません。

政治家や官僚が、私利私欲のために、『好ましくない組織』と裏取引し、法に反する行いをするという例は、先進的な民主主義国家でも、頻繁に起きる事件です。日本も例外ではありません。

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