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2018年12月17日 (月)

『虚構』の共有(3)

実際に存在するものを『認識』することは、『生物』が最初に獲得した能力であろうと思います。周囲の状況を判断して、自分に都合よく行動することが、生き残っていくために必須の要件で会ったからです。『捕獲者』として『獲物』を認識して捕獲する、自分が『獲物』にならないように『捕獲者』から逃げるといった行動は、上記の『認識』で行われます。

人間も、この基本的な能力は具備しています。五感の中でも、視覚、聴覚が重要な役割を演じています。

この能力をさらに発展させて、実際に存在するものを『認識』した後に、そのものがもたらす先の事象を『推測』することが出来るようになります。

野兎は、周囲の草むらが風もないのにカサコソと音を立てることを『認識』して、捕獲者である狼が自分を狙っていることを『推測』して逃げ出します。

私たち人間は、西の空の夕焼けを『認識』して、『明日は晴れる』と『推測』します。

この『認識』『推測』の能力で、人間はすでに他の生物より高度なレベルに達していますが、さらに高度なレベルにまで能力を進化させました。

それは、実際には存在しないものを、あたかも存在するように『認識』して、その『認識』をベースに次なる『推測』をするという能力です。

『神』『愛』『正義』などという、抽象物、抽象概念が典型的な例になります。

『サピエンス全史』の著者『ユヴァル・ノア・ハリル』は、これを『Imagined Reality(想像した現実)』と呼んでいます。そして、『会社』『教会』『国連』『国家』『民族』『通貨』なども『想像した現実』であることを鋭く指摘しています。

『ホモ・サピエンス』が、この『想像した現実』を扱う能力をいつ獲得したのかは、定かには分かりませんが、少なくとも七万年前に『アフリカ』から、世界各地へ移動を開始したころには、保有していたと推測できます。

『ユヴァル・ノア・ハリル』の仮説が正しいとすれば、この能力が、『ネアンデルタール人』を絶滅に追いり、やがては『文明』を創り出し発展させる原動力になったと考えられるからです。

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