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2015年2月21日 (土)

脳の『閃き』とは何だろう?(6)

『情感』の多くは、私たちが意識して得られるものではなく、突如襲ってきます。『感動する』などがその最たるものですが、『嬉しい』『悲しい』なども皆そうです。後で、何故『嬉しく』『悲しく』感じたのかを、『理』で推論することはできますが、最初の情感は、『理』によってもたらされたものではありません。 

感覚器官で取得した『情報』は、先ず脳の『扁桃体』で、最初の処理がなされると考えられています。この最初の処理(判断)は、『自分にとってその状況が都合が良いか、悪いか』を即座に判断するもの(直感)に違いありません。生物進化の過程で、生き残りを優先するために必要な機能として、獲得した機能ですから、この直感的な判断機能は、多くの生物に共通しています。人間の脳では、この処理(判断)は『無意識』に行われます。そして、この結果各種のホルモンが分泌され、それに応じて私たちは『情感』を体験します。突然襲ってくる『情感』の背後で、このようなプロセスが繰り広げられていることになります。 

『精神世界』で重要な意味を持つ『情感』を、『物質世界』のプロセスとして観れば上記のような説明になります。味気ない表現ですが、脳の中で、エネルギーを消費しながら行われる物理反応、化学反応の集合体ですから、『物質世界』の『摂理』そのものを利用しているだけと言えます。 

『精神世界といえども物質世界が無いと成り立たない。影響も無視できない』ということが分かりますが、驚くことにこの『精神世界』では、『物質世界』の『摂理』には存在しない別の『価値観』を人間は創り出し、共有しています。 

『善悪』『美醜』などの『価値観』がその代表です。『物質世界』の『摂理』では、『善悪』『美醜』という『価値観』は意味を持ちません。しかし、私たちは『物質世界』の事象も『精神世界』の『価値観』で論じようとする習性を継承してきましたので、時々トンチンカンなことを言いだすことがあり、天災や病気を『神の怒り』『悪霊の祟り』などと主張する人が出現します。 

少し話が逸れました。『閃き』の正体は、現状では十分解明されていないために『神秘』に見えますが、基本には、必ずしも『神秘』とは言えない『物質世界』の事象が必ず介入していると梅爺は想像していることを申し上げたかっただけです。 

『閃き』は、上記の『情感』だけではなく、『理性』による思考が関与しているものと推察できます。『理性』は更に、『脳神経細胞ネットワーク』のダイナミックな動きが関与する『推論』『記憶』などとも深い関係を持ちますので、『閃き』は、脳全体が創り出す総合的な事象の顕著な側面であり、単純な一つの事象では説明できないものであることも、やがて詳しく解明されるのではないでしょうか。

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