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2015年2月15日 (日)

ウンベルト・エーコのエッセイ『敵を創る』(4)

『人類』の祖先は、地球規模の気候変動で、樹上生活では食料の確保が困難になり、地上に降りて『二足歩行』を開始したと考えられています。このことで、獰猛な肉食獣の餌食になるリスクは増えました。しかし、手と、手の指が自由に使えるようになったことで、『道具』を創りだす可能性が増え、武器(こん棒、槍、弓、吹き矢など)や防具、身に纏う衣、履物(はきもの)も発明しました。

人間の脳が、何故進化したのかは、因果関係がはっきり分かっていませんが、『二足歩行』『指の利用』が関与しているという説が有力です。

『脳の進化』は、多様な『精神世界』を創りだし、『言語』を発達させ、やがて『宗教』『芸術』のもととなる抽象概念も見出しました。『群の生活様式高度化』『草食(木の実)から雑食(肉食)への移行』も進化と深く関係しています。『化粧をする』『装身具で飾る』など、人間だけの行為の本質も、実は重要な意味を秘めているのではないでしょうか。

『進化』を推進した一つの原動力が『安泰を希求する本能』であったというのが、梅爺の仮説です。『都合が悪いことを排除する』『都合が良い状態を推量し、それを実現しようとする』という両方があいまって、高度な進化が実現したと考えています。

『敵』は『自分に危害を及ぼす危険な人達』『自分の価値観と異なったことなった異質の人達』『自分の願望実現の障害になる人達』で、『強い相手』だけではなく、時には『弱い相手』も『敵』とみなします。

歴史的には、中世の『異端尋問』『魔女裁判』『らい病患者への差別』などがありますが、近世でも『ナチのユダヤ人迫害』があり、現代も、いわれのない『人種差別』が根強く残っています。

『自分に都合が良いことを最優先させる』という本能が背後にありますから、このような『差別』を根絶することは難しいことになりますが、唯一これを抑制する方法は『理性』を育むことです。

最も重要なことは、人間は、肉体的にも、『精神世界』の面でも、『個性』的であるという宿命を帯びている『生物』であることを『知る(教える)』ことです。更に、『精神世界』が創り出す価値観の大半には、絶対評価尺度がないということも『知る(教える)』べきです。この二つを『知れば』、『自分と同じように考えない、感じない相手は抹殺する』などという残虐な行為は減るはずです。

『宗教』『イデオロギー』は、良い面もありますが、『自分の価値観を絶対視する』という悪い面もあります。つまり、人間にとっては『信ずる』ことも必要ですが、同時に『疑ってみる』ことも同様に必要であるということになります。

人間は、そもそも一人一人が『異質』なのですから、その事実を許容した社会以外は、永続きできません。『一党独裁』『将軍様崇拝』の国家の永続には無理があります。

個性があるからこそ、『自己主張』はすべきですが、他人の主張も尊重すべきです。『寛容と忍耐』『妥協』は、『敗北』ではなく、人間社会では、重要な『知恵』なのです。

『ウンベルト・エーコ』の『敵を創る』を読んで、梅爺は色々考えをまとめることができました。

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