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2013年2月16日 (土)

北一輝と大川周明の『昭和維新』(2)

現在の日本人は『維新』という言葉を耳にすると、『旧弊(きゅうへい)を打破し、断固正しい路線を歩み始める』ことと、良いイメージとしてとらえるところがあります。この国民感情を利用して『維新の会』という政党ができたり、坂本竜馬気取りで平成版『船中八策』を披露したりする人物が登場しています。 

確かに『明治維新』に失敗していたら、現在の日本はなかったかもしれないとも言えますので、『維新』が『体制を一新して、正しいことを断行する』ということと同意義になってしまったのでしょう。 

不況が永く続いたり、大きな国難に遭遇したり、貧富の格差が大きくなったりすると、社会には閉塞感が蔓延し、これを打破しようと『維新』の必要性を唱える人物が登場することになります。この番組にレポーターとして出演した『田原総一郎』氏は、昭和の初めごろと現代は、世相が似ていると言っていました。しかし、昭和の初期の農村部の貧困の度合いはひどいもので、次男三男は兵隊になるしかなく、娘は身売りを余儀なくされる時代でしたから、相対的に『似ている』とは言えても、『同じ』ではありません。

それに人間社会で『体制を一新する』ことは、そう簡単な話ではありません。多くの人は保守的で『変わる』ことに不安を感じますし、現体制から利益を得ている人たちは、それにしがみつこうとします。『国会議員の数を減らす』『官僚の天下りを禁ずる』などということでさえも、そうスンナリとは事が運びません。

アメリカのオバマ大統領は、『チェンジ(変化)』を叫んで、大統領になりましたが、1期目は、ほとんど成果を挙げることができませんでした。ミシェル夫人の口出し、ホワイトハウスの側近間の意見の衝突など色々な要因が取りざたされていますが、『変革をしたい』という願望と、『変革を実施する』ことの間に大きな違いがあることを物語っています。『自己表現の能力』と『他人の能力を組織として利用する能力』の両方を兼ね備えたリーダーは、なかなかいないということかもしれません。日本でも、『自民党政治』を変革すると叫んで、国民の期待を集めた民主党も、能力不足を露呈し、『失望』だけを残して、再び自民党に大敗を喫することになりました。

『議会政治』『政党政治』の『話し合い』で、『体制を一新する』ことは、非常に難しいことを歴史は示しています。短兵急(たんぺいきゅう)に『体制を一新する』方法として、暴力的な手段が多く用いられてきました。『革命』『クーデター』『テロ(暗殺)』など、いずれも流血をともなう行為です。『明治維新』も穏やかな『話し合い』だけで実現したわけではありません。

『北一輝』『大川周明』は、主として著作物で『思想』を述べる論客でしたが、『体制一新』の実践には、『クーデター』や『テロ』はやむを得ないと考えていたのではないでしょうか。社会の閉塞感はそれほど深刻で、手遅れにならないように『変革』を行う必要があると思いつめたのでしょう。『暴力を肯定するなどもってのほか』と私たちは自分の価値観で非難したくなりますが、切羽詰まった非常事態でもその主張を通せるかと自問してみる必要があります。梅爺は『北一輝』『大川周明』を擁護したり、その思想を全面的に受け容れるつもりはありませんが、目的(体制一新)と手段(クーデターなど)の関係を論理的にとらえようとする考え方については、『そう云う考え方もある(自分の考え方とはちがうとしても)』と認めることができます。

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