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2012年10月29日 (月)

イスラームによる国家統治(3)

『イスラーム』を理解する上で、重要なアラビヤ語の概念は、『ウンマ(共同体)』『イジュマー(共同体の合意)』『ウラマー(宗教的指導者:知識を持つ人)』であることを『イスラームとは何か』という本を読んで知りました。

『ウンマ』は『イスラーム』を信仰する人達の絆で結ばれた精神的結束で、特定のコミュニティのことではなく、時には国の垣根を越えた広汎な連帯をも意味します。現在私たちが『イスラーム圏』と呼ぶ対象も『ウンマ』です。『神(アッラー)』と人間の結びつきは垂直で個人的なものですが、信者同士は『ウンマ』で水平に結びついた同胞であるという考え方です。この垂直(神と個人)、水平(信者同士)の結びつきが『イスラーム』思想の真髄です。

私たちも、学校、会社、国家などの一員として『連帯意識』を持ちますが、『イスラーム』の『ウンマ』はより強固な概念であろうと推測しました。『イラク』や『アフガニスタン』の反米ゲリラ組織には、『イスラーム圏』の諸国から多くの戦士が参加していますが、根底には『ウンマ』の連帯感があるためなのでしょう。

『イジュマー』は『ウンマ』の中になんとなく形成される『合意』のことです。特定のプロセス(会議、命令といった)を経て『合意』に達するのではなく、時間をかけてじわじわ形成される『合意』ですので、『不文律』『紳士協定』のようなもので、『なんとなく』としか形容のしようがありません。私たちの『民主主義』では、プロセスを決めて討論、投票などをおこない、手っ取り早く、効率よく、『合意』を得ようとしますが、『イスラーム』は時間をかけて煮詰まるのをじっと待つという方法ですので、悠長と言えば悠長ですが、その分試練に耐えうる強固な『合意』が得られる可能性を秘めているように感じます。時間をかけて本物が生き残るという考え方は『生物進化』にも似ています。人間の特性や能力を考えると西欧民主主義の『合意』形成方式が、『イジュマー』形成方式より優れているとは一概に言えません。

『ウラマー』は、『宗教指導者としての神学者、法学者』で、これも特定の選定方法があるわけではなく、『ウンマ』の中から、『賢い人』がなんとなく選ばれるというということですから、これも『イジュマー』の一種と言えそうです。個別の問題への対応指針は『ウラマー』が『神(アッラー)の代理』として決めることになりますから、重要な役割を負い、大きな影響力を持つことになります。

歴史的に特に優秀な『ウラマー』は『学派』をつくり、考え方が継承されていくために、『イスラーム』には現在も複数の『学派』が存在しているとのことです。『スンナ(スンニ)派』『シーア派』などは、この『学派』から元々派生したものらしいと知りました。『イスラーム』における宗派の違いとは何だろうと、かねがね疑問に思っていましたが、そういうことかと分かりました。しかし『全能唯一の神(アッラー)』の『真意の解釈』が、人間側には複数存在すると言う『矛盾』はいかがなものかと皮肉を言いたくなりました。

このようなことを知れば知るほど、『イスラーム』社会を西欧型の民主主義に変えるなどということは、至難の業であることが分かります。

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コメント

今日は~^^またブログ覗かせていただきました。よろしくお願いします。

投稿: グッチ 靴 レディース | 2012年11月20日 (火) 04時31分

グッチ 靴レディースさま
ありがとうございます。

投稿: 梅爺 | 2012年11月20日 (火) 09時44分

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