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2012年10月 2日 (火)

ビル・ゲイツの慈善事業(4)

ビル・ゲイツは典型的な『アメリカン・ドリーム』の成功者ですが、『金儲け』だけが目的ではなく、『金の亡者』でもないところが、人物を際立たせる要因になっています。 

基本的には『困難な状況を打破して見せたい』という欲望が、行動の源泉になっているように見えます。ほぼゼロの状態から、巨大なソフトウェア会社を作り上げると言う、『困難な課題の克服』が目的で、『世界有数の富豪になる』ことは結果的にもたらされたということでしょう。 

『困難な課題』を克服するには、ありきたりの発想ではだめで、『アッと驚く独創的なアイデア』を必要とします。ビル・ゲイツは、『自分は、どんな難問にも必ず解決策はあると楽観的に考える人間です』と述べていますが、『独創的なアイデア』を重視することでも知られています。マイクロソフト社は、全米の大学の成績優秀者を社員として採用したことでも有名ですが、最後の面接試験はビル・ゲイツ自身が行い、『突飛な質問』をしたことでも有名です。たとえば『富士山を動かせと言われたらどうしますか』といった類(たぐい)の質問です。平均以上の学力に加え、独創的なアイデアの持ち主を求めていた証左です。 

慈善事業を始めてからも、この習性は発揮され、『マラリヤに対する免疫を伝染させる蚊はつくれないか』という課題に賞金をだして、アイデアを求めたりしています。『マラリアを媒介する蚊』を逆手にとって、『免疫を媒介する蚊』に変えようと言う、逆転の発想を真面目に思いついたのでしょう。これについては、妙案が見つかったという話は聞いていません。 

『ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団』は、『世界の貧困、病魔の問題』、『アメリカの荒廃しきった教育現場の建て直し』という、国際機関や政府でも解決できていない『困難な課題』に挑戦しています。このような課題は、『ありきたりの発想』では解決できないとビル・ゲイツは考えているのでしょう。私たちも安易に『これは政府が解決すべき問題である』などと発言しますが、多くの人間の合意を重視する政府のような機関では、結局『ありきたりのアイデア』に集約されてしまうことになります。民主主義のもつ一つのジレンマでもあります。少数の人間で意思決定し、直ぐに行動する慈善団体の方が、『困難な課題克服』には有効であるかもしれないという話です。

それならば、有能なリーダーでの『独裁政治』の方が結果的に良いシステムかというとそうでもありません。『独裁政治』は人々の自由な発想を抑圧してしまうというこちらにもジレンマがあります。『民主主義』の体制下に、アイデアと素早い行動を掲げる『非営利団体(NPO)』が共存するというシステムが、好ましいように感じます。日本も多くのNPOが活躍する国に、変貌しつつありますが、大変すばらしいことではないでしょうか。多くの人の知恵が実際に活かされる可能性が高まるからです。ビル・ゲイツは現在のビル・ゲイツであることに意味があり、彼をアメリカ大統領にしてみても、うまくはいきません。

『困難な課題』を克服するには、お金もかかりますが、『解決のためのアイデア』がまず求められます。『ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団』は、巨額の資金を保有していることが活動の基盤となっていますが、どのようなアイデアに投資をするかの決定が最優先されているところに、価値があります。

たとえば、『パキスタン政府が、ポリオ撲滅に一定の成果をあげたら、日本からの借款を政府に変って返済してあげる』というような契約をパキスタン政府と交わしています。物品や金の援助をすると、末端まで届かずに権力者の懐を肥えさせる結果になりかねません。北朝鮮への飢餓救済食糧支援なども、効果は芳しくありません。『あなたが自身でポリオ撲滅をして見せてくれたら、あなたの借金を代りに返済してあげる』というアイデアには、パキスタンの悪徳権力者を肥えさせる要素がありませんから、実に妙案です。『ありきたりのアイデア』では、難問は解決できないという、ビル・ゲイツの自負が感じられます

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