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2012年3月12日 (月)

ドキュメンタリー番組『なぜ人間になれたのか』(8)

この4回のシリーズ番組で、『人間』を他の生物とは大きく異なったものに変化させた牽引役は、『分かち合いの心』『投擲道具(武器)』『農耕』『マネー』であると解説されました。それぞれごもっともな話ですが、『人間』という複雑な存在を、たった4つの要因で語りつくすことはできません。

私たち現生人類(ホモ・サピエンス)の歴史は17万年程度で、地球上の生物種の中では、これは最も短い歴史と言えます。勿論現生人類は17万年前に降ってわいたように出現したわけではなく、先行する800万年の『人類種(猿人、原人、旧人)』の進化のプロセスの最終後継者として現れました。云い方を変えれば、現生人類とチンパンジーは、800万年前の共通の先祖を持っていたということになります。

梅爺は、現生人類は出現した時には既に、現在の私たちとさほど変わらない基本的な『潜在能力』を保有する程度に『進化』は進んでいたのではないかと勝手に、しかも大胆に想像しています。頭蓋の脳容量などは現代人と同じ程度に進化していたという意味です。仮に17万年前の赤ん坊をタイムスリップして現在に連れてきて、私たちの生活環境で育てれば、『現代人』として立派に通用する成人になるのではないかという大胆な推測です。

『バカなことをいうな。毛皮をまとい、原始的な石器の道具を使う程度の人間が、どうして私たちと同じなんだ』とご批判があると思いますが、それは生活能力の話で、梅爺が云っているのは生物としての『潜在能力』の話です。最初から後の『文明』を生みだすに必要な『潜在能力』のレベルを備えていたという推測です。現代の『科学文明』の歴史はたった数100年ですが、この間に『人間』の生物としての『潜在能力』が大幅に変わったわけではありません。『釈迦』『アリストテレス』『キリスト』の時代も、現代の人間と同じ『潜在能力』をもった人たちがいたにちがいありません。そういうことから延長した上での推測です。

今回のシリーズ番組は、現生人類が持てる『潜在能力』を開花させ、どのように文明をつくってきたかという内容で、そのプロセスのなかで、いかに外観(そとみ)の生活様式や社会環境を変貌させたかを示すものでしたが、梅爺が推測するように、17万年前には、後の変貌を可能にする『潜在能力』をもった『人間』が存在していたとすれば、『人間』が『人間になった本当の要因』は、現生人類種以前の人類の進化過程に大半が潜んでいるということになります。

『思いやり、分かち合いの心を持つ』『将来に夢を抱いて実現努力する』などという人間が持つ本能的な特徴を、倫理的にみて『素晴らしい』と云いたくなりますが、全て『そうしないと生き残れない過酷な環境での経験』が生みだした本能なのではないでしょうか。したがって『都合の悪い相手は徹底殺戮する』という本能も同時に私たちは継承しています。

『人間』の最後の頼みは、『理性』で本能を制することができる可能性を秘めていることです。『争う』『分かち合う』という一見矛盾をはらんでいるようにみえる本能がどうして継承されてきたかを冷静に理解し、人類が今後も存続するためには、本能のままだけで生きていくわけにはいかないことを同様に『理性』で理解する必要があります。このような『理性』を育む手段は、適切な『教育』しかありません。

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