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2012年3月10日 (土)

ドキュメンタリー番組『なぜ人間になれたのか』(6)

番組のシリーズ3回目は、『農耕』が人類へもたらした影響に関するものでした。『狩猟』行為は、他の動物も行いますが、『農耕』は人間だけが行うものですから、『農耕』が人間たらしめた要因であるという説明はもっともです。

『狩猟』時代は、獲物を求めて移動する生活環境が主であったのに対して、『農耕』では、定住が主になりますから、生活様式や社会構成が一変したことは容易に推測できます。やがて、コミュニティの規模は大きくなり、『階級社会』や『国家』が誕生するきっかけになったのでしょう。この番組では、『農耕』が始まった当初、コミュニティが自分の農耕地を他のコミュニティの侵略、略奪から守るために、『狩猟』時代より、人間同士の『争い、殺し合い』が激しくなったと解説しています。

しかし、他の動物も『群の縄張り』を巡って、同じ『種』同士が『争い、殺し合い』を行いますから、『農耕』が、人間同士の『殺し合い』の原点であったとは思えませんが、『殺し合い』の度合いが激しくなったのは確かかもしれません。

『小麦』の原種は、西アジアの野生植物であったことは分かっていますが、初期の『小麦』は、実が熟すると風で飛び散ってしまい、とても多量の収穫は期待できないものであったと、この番組は解説しています。そして、『小麦』は主食であったというより、宗教的祭事で『神』に捧げる『酒(ビール)』をつくるためのものであったのではないかと推測しています。同じ宗教を共有する複数の部族が、祭事場にあつまり、『酒』を神に奉納して、自分達も宴で呑み、絆を確かめ合って、『争い』を避ける手段にしていたのではないかとも推察しています。同様の祭事、神事は世界中の宗教で今でも行われていますから、説得力があります。

『宗教』も人間だけが行う活動ですから、これも人間たらしめた要因の一つであるという説明も肯けます。『ネアンデルタール』人は、異なった部族が『宗教』で団結することがなかったために滅亡したと唱える学者もいます。

やがて人類は、実っても風で飛び散らない新種の『小麦』を発見し、『小麦』は主食の座を勝ち取ることになります。これも『小麦』の側からみれば、『子孫繁栄』のために『飛び散る』必要があったものが、人間が必ず『種まき』してくれることで、『飛び散る』必要がなくなり、突然変異でできた『飛び散らない』品種がその後の主流になっていったとも言えます。人間の関与が『小麦』の『生物進化の自然選択』を促したことになります。

この番組では、私たちには『闘争心を高める』『他人と穏やかな気持ちを共有する』という矛盾した『ホルモン』が継承されていることを解説していました。これは、『戦う』『共存する』は、生物種の『生き残り』にとって、どちらも場合によって必要なことですから、『農耕』に出会うずっと以前から継承していた習性ではないでしょうか。

『農耕』に出会って、人間は殺し合うようになり、やがて共存するようにもなったというような印象をこの番組は与えていますが、梅爺はそうは思いません。ただ『農耕』が、『戦う』『共存する』ことを、より人間に強いるきっかけになったというのであれば、そうかもしれないと思います。

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