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2011年3月31日 (木)

ダン・ブラウン『The Lost Symbol』(1)

アメリカの推理小説作家ダン・ブラウンは、『ダ・ヴィンチ コード』で、世界的な成功をおさめた人です。『ダ・ヴィンチ コード』の成功で、それ以前の著作も売れ、文字通り『アメリカン・ドリーム』を実現しました。梅爺も、すっかり乗せられて英語版ペーパーバックを買い漁り、今までに以下の4作品全てを読みました。

『Digital Fortress』
『Angels & Demons』
『Deception Point』
『The Da Vinci Code』

彼の作風は、『歴史の謎』『宗教(ローマン・カトリック)』『最先端科学』がプロットに巧みに配置されていることです。当然読者を『アッ!』と言わせようと企むわけですから、少々強引に『これが真実だ!』と、あの手この手で辻褄合わせをしようとします。梅爺も『それは、ないだろう』などとつぶやきながら、それでも展開の面白さで、つい読んでしまいました。

ローマン・カトリックの教義や体制に、疑念を抱かせる筋立てが登場しますが、決して無神論者のように全てを否定することはありません。無神論者はアメリカ社会で、もっとも嫌われますから、アメリカの大衆を敵に回しては、小説が売れないことを承知しているのでしょう。それでも、かなり際どいギリギリの内容が売り物です。『ダ・ヴィンチ コード』では、『キリストは、マグダラのマリヤと結婚していて、その子孫が現代も存在する』という筋立てで物語が進行します。さすがに、これは賛否両論を招くことになり、『カトリック』からの反撥もありましたが、話題になればなるほど、本は売れますから、ダン・ブラウンの思う壺になりました。しかし、その後『ダ・ヴィンチ コード』で、立証に使われた事柄の大半は、『歴史的な事実ではない』ことが明らかになりつつあります。

所詮小説(フィクション)ですから、真偽に目くじらをたてることはないとは言えますが、あまりにも荒唐無稽では、読者もそっぽを向きますので、何がギリギリの線かを見極めるのが、この種の小説作家の能力として求められます。

久しぶりのダン・ブラウンの最新作『The Lost Symbol』が発売されましたので、今まで彼の全作品を読んできた以上、これは外せないと早速購入して読みました。

『アメリカの建国秘話』と秘密結社『フリーメーソン』の関係を題材に、現在の首都ワシントンを舞台に繰り広げられるストーリーですから、アメリカの大衆の好奇心をくすぐるには格好の題材です。ベスト・セラー作家の着眼点はさすがです。主人公も、『ダ・ヴィンチ コード』と同じ、ハーバード大学の記号学教授ロバート・ラングドンという設定ですので、読者は『あのラングドンが、今度はどんな冒険に遭遇するのだろう』と、期待することになります。

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