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2011年3月26日 (土)

梅爺創作落語『カラスは白い』(5)

(大家のおかみさん)『なんだい、お爺さん。それに、八っつぁん、熊さんまでお揃いで、どうかしたのかい』

(熊八)『いやね、おかみさんが大好きな猫が手に入ったもんですから、差し上げようと思いましてね』

(大家のおかみさん)『そいつは申し訳ないね。どれどれ、おや、これは立派な黒猫じゃないかい』

(八五郎、熊八声をそろえて)『と、とんでもねー、おかみさん。こいつは白猫でございます』

(大家のおかみさん)『バカをお云いでないよ。ここんとこの暑さ続きで、頭でもおかしくなっちまったのかい。お爺さん、これは黒猫だとお前さんからもそう言っておやりな』

(大家)『・・・そ、そうだな。おまえが黒猫というのなら、これは黒猫かもしれないな』

(熊八)『これはてーへんお見それいたしました。これが黒猫ってーことになると、カラスも黒いということになりますな』

(大家のおかみさん)『いい加減になさいよ。カラスは黒いに決まっているじゃないか。カラスは白いなどと言う人がいたら、よほどの唐変木(とうへんぼく)だよ。それはそれとして、昔から黒猫は縁起が悪いっていうだろ。申し訳ないが、この猫をいただいて飼うわけにはいかないね。じゃー、ちょいと忙しいから、これで失礼しますよ』

(八五郎小声で)『熊さん、聞いたかい。大家の爺さんも、ついに唐変木にされちまったじゃねーか。ざまーみあがれってんだ』

(熊八小声で)『しー。声が大きいよ』

(大家)『ようやくお前さん達の魂胆(こんたん)が読めましたよ。私にカラスは黒いと言わせるために、婆さんをダシに、黒猫を連れてきて一芝居打ったってーわけですな。一本取られましたな、これはどうも参りました。それにしても、黒猫をわざわざ白猫と呼ぶなんざ、手のこんだ芝居ですな』

(熊八)『いえ、とんでもありません。これは元々白猫でございます』

お後(あと)が、よろしーよーで。

(終わり)

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