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2011年3月11日 (金)

知の巨人『ジャレド・ダイヤモンド』(2)

『ジャレド・ダイヤモンド』博士は、ユダヤ系アメリカ人で、現在カリフォルニア大学ロスアンジェルス校(UCLA)の現職の教授です。73歳で、旺盛な執筆活動、研究活動を継続されているわけですから、70歳の梅爺が、すっかり『爺さん隠遁気分』になっていることが恥ずかしくなります。元々は、進化生物学、生理学、生物地理学などが専門分野でしたが、更に言語学、考古学などの知識を深め、ついに文明の盛衰に関する洞察へ到達しました。まさに『学際的(Interdisciplinary)』な現代の『知の巨人』と呼ぶにふさわしい方です。

特に、自然科学の分野の学者が、歴史(文明論)という人文科学の分野を論じていることに意味があるように思います。人文科学の世界は、『こうであろう、ああであろう』と、『仮説』が飛び交い、それが『仮説』のままで放置されがちですが、自然科学では、『仮説』は、矛盾がないことを何らかの手段で論証しなければなりません。『仮説』の提示は無意味ではありませんが、それだけでは説得性を欠きます。

『梅爺閑話』の中でも、色々なことに梅爺の『仮説』が多く提示されていますが、多くは論証のプロセスが提示されていません。提示したくてもする能力を欠いているからで、個人的な単なる『頭の体操』に止まっています。お読みになられた方が、『やたらと自説を押しつけたがる爺さん』と感じておられるようであれば、まことに不徳のいたすところです。

日本人から、ダイヤモンド博士のような、『学際的な自説の提示』をする学者がなかなか現れないのは、どうしてなのでしょう。少々失礼な言い方をお許しいただければ、明治維新以来、『他人の業績を渉猟(しょうりょう)し、追確認する』ことを『学問』と勘違いしているからではないでしょうか。日本では『あの学者はああ言っている。この学者はこう言っている』と評論できれば『知識豊富な学者』と認められます。しかし、本来『学問』は、自分の中にある『疑問』に、自分の能力で答えることではないでしょうか。日本でも、専門分野の中に『疑問』を限定して、たまたま素晴らしい成果をあげ、ノーベル賞を受賞する学者は現れますが、ダイヤモンド博士のような学際的な学者はほとんど現れません。

ダイヤモンド博士の『疑問』は、『何故、現代へ影響を与えている人類の文明は、アフリカ大陸やアメリカ大陸ではなく、ユーラシア大陸で発祥したものであるのか』というものです。このような『疑問』に、学際的な考察無しに答えることはできません。

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