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2011年3月25日 (金)

梅爺創作落語『カラスは白い』(4)

(多吉)『おとっつあん、ほれ白猫を捕まえてきたよ』

(熊八)『おーおー、ご苦労だったな。こいつは立派な白猫じゃねーか。そいじゃ、おっかー、ちっとこの猫を抑えつけておいてくんねい。おいらがこの猫を今黒猫に変えちまうからな』

(八五郎)『熊さん、筆にたっぷり墨を含ませて、一体どうするつもりだい。あれあれ、頭から尻尾の先まで、黒く塗っちまって、これじゃ、折角の白猫が黒猫になっちまったじゃないかい』

(熊八)『だから、白猫を黒猫に変えると言ったろう。これで、万端整ったていわけだ。いよいよ出陣だな』

(八五郎)『出陣って、熊さんどこかで戦(いくさ)でもおっぱじめようってのかい』

(熊八)『バカだね、お前も。この猫を連れて、大家の爺さんのところへ乗り込むのよ。さぁ、八っつぁん、おいらについてきな』

というようなわけで、八五郎と熊八の両人が、いよいよ大家のところへ出向くことになりました。

(熊八)『へい、ちょいと、ごめんなすって』

(大家)『これはこれは、八っつぁんと熊さん、お揃いでお出ましとは珍しいじゃないか。何かあったのかい』

(熊八)『実は、大変珍しい、カラスの濡れ羽色のような白猫が手に入ったもんですから、大家さんのおかみさんへ差し上げようと思いましてね。おかみさんは、無類の猫好きっていことは、長屋中の評判で知らぬものがいませんからな。どうですカラスのような色の立派な白猫でござんしょ』

(大家)『おぉ、これは立派な黒・・・・、いや白猫じゃな。たしかにカラスと同じ色にちがいありませんな。では、この猫を預かっておいて、あとでうちの婆さんに渡すとしますか。どうも、お心遣いありがとうよ』

(熊八)『ちょいと待っておくんなさいな、あっしらは、おかみさんに、直(じか)に観ていただいて、この白猫を気に入っていただけるかどうか、確かめないと御暇(おいとま)するわけにはいきませんやな。ひょっとすると気にいってもらえないこともあるかもしれませんからな』

(八五郎小声で)『熊さん、どうしてあのチンクシャにそんなに気を使うんだい』

(熊八小声で)『バカだねお前も、これが今回の魂胆(こんたん)の勘どころじゃねーか。それに大家の前でチンクシャなんて言っちゃいけねーよ』

(大家)『どうしたい、だれか風邪でもひておられるのかな』

(熊八)『いえ、こっちの話でございます』

(大家)『そうかい、それじゃ婆さんをここへ呼ぼうかね。これこれ、婆さんちょいと出てきておくれでないかい』

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