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2011年2月28日 (月)

アマゾン原住民『シクリン』(1)

BSジャパンの10周年記念番組で、ブラジル、アマゾンの原住民『シクリン』へ密着取材したドキュメンタリー番組があり、録画して観ました。

アマゾンの熱帯雨林の中には、今でも234種族の原住民が住んでいて、ブラジル政府はそれぞれに保護区を設定して、文明人の勝手な接触を規制していることを知りました。『シクリン』はその中の1部族で、一時は150人までに人口が減少し、絶滅の危機に瀕しましたが、現在では734人までに回復しています。しかし、依然として絶滅の危機は脱していません。

日本のテレビクルーが、ブラジル政府の特別の許可を得て、管理官同行のもと、滞在し取材した内容で、『シクリン』の実態の報道としては世界初のものであろうと思います。文明人が病原菌を持ちこまないように、テレビクルーは事前に徹底した健康診断を受けました。

『シクリン』の風貌は、明らかに『モンゴロイド』で、1万年以上前に、アジアから北米、中米を経由して南米に移り住んだ人たちの末裔なのでしょう。他の部族との抗争に敗れて、徐々に密林の奥へ追いやられたのであろうと、テレビでは解説していました。元々は『家族単位』で、密林を自由に移動する民でしたが、現在はブラジル政府の命令で、『定住』を強いられ、村を構成しています。村の広場の真ん中に『集会所』があり、それを中心に、家族単位の『住居』が円周状に配置されています。

『シャーマン(呪術師)』はいますが、部族の長老は特別には存在せず、何かある時には『大人の男達』だけが『集会所』に集まって、議論をして対応方針を決める方式が採られています。最近まで家族単位の移動の民であったことが、この一見民主的な方式を産みだしたのでしょう。もし、部族が『定住村落方式』を永い期間選んでいたとしたら、必ずコミュニティーには『長老(リーダー)』が存在するようになっていたのではないかと梅爺は推測しました。『コミュニティーには必ずリーダーを必要とする』というのが、私達現代人の『常識』ですが、『コミュニティー』の結束の強さ次第で、『リーダー不在』も選択肢の一つであることが分かります。『リーダー不在』は『シクリン』が、たまたま選択した方式で、原始社会の原点は『リーダー不在』であると、決めつけるわけにはいかないように思いました。

テレビクルーの取材を認めるかどうかで、男達の集会が行われ、『取材の期間中は、女は着衣をすること』が決められました。普段は、男女とも裸体に近い状態なのであろうと想像できますが、この取材では、男は『短パン』、女は『ワンピース』といった文明社会が持ちこんだ『衣料』を身につけていました。文明人は『裸体』に対して異なった価値観を持っていることを『シクリン』が既に知っていて、『この際は、相手の価値観に合わせておいた方が無難』と『判断』していることに梅爺は興味を抱きました。『シクリン』は既に、純粋な『原住民』ではいられない環境に身を置き始めていること、文明人の『価値観』の一部を知って、自分達の『価値観』との調整を余儀なくさせられていることは、『日本』が日本だけの価値観で生きていけない時代に入り、価値観の調整を余儀なくさせられている話と同じであるからです。

人類の歴史は、『異なった環境』や『異なった価値観』に遭遇し、どう対応していくかをその都度選択してきたことと言いかえることもできるのではないでしょうか。『シクリン』を観ていると、『人間』や『人間社会』の本質が見えてくるように感じました。

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