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2010年10月22日 (金)

福岡伸一著『世界は分けてもわからない』(8)

『ありふれた材料』と『生命の灯』で誕生し、進化した人間は、突出した資質である『精神活動』を獲得します。言うまでもなく『脳の進化』によるものですが、それを促したものは『コミニュケーションの手段である言葉や文字』で、これを洗練されたものに高めていったからです。

『精神活動』の成果は、『宗教』『倫理・道徳』『科学』『芸術』『哲学』『イデオロギー』ですが、政治や経済などの社会体制も『精神活動』の総合活用成果と言えるのではないでしょうか。他の生物と異なった人間の特質は全て『精神活動』に由来しています。

『分子生物学』は、最初の『生命の灯』が何故ともったかについては、説明できていませんが、『生命の灯』が一旦ともった後に、どのように機能し続けてきたかについては、多くのことを明らかにしつつあります。『生命の灯』を絶やさない努力を生物は本能で継続しつづけ、その結果人間は『精神活動』を獲得したとすれば、『精神活動』は、人間という生物種の『生命の灯』を絶やさないために『必要なもの』であるに違いないと推定できます。

梅爺は、『神』が人間を作り出したのではなく、人間が『神(という概念)』を作り出したのであろうと想像しています。しかし『神(という概念)』は、意味もなく考えだされたのではなく、『生命の灯』をともし続けようとする本能と深く関係しているのではないかと推測しています。従って、『神は存在するか』といった『理』による議論だけでは済まされない重要な意味を『宗教』は内包しているのではないかと考えています。

『安泰に生きる』ことを脅かす要因はすべて生物の『生命の灯』にとっては脅威であり、『不安』や『恐怖』というストレスとして本能は感知します。したがって、『不安』や『恐怖』を緩和し『心の安らぎ』を得ることは、『安泰に生きる』状態へ復帰するために必要なことになります。肉体的、精神的に『自己ヒーリング機能』を人間が保有しているのは、『安泰への復帰』のために、それが必要であるからにちがいありません。

何故人間は『人と人との絆』を、『会話』や『笑い』といったコミニュケーション手段で得ようとするのか、何故人間は『信仰』で、神や仏と接触しようとするのかは、すべて『安泰の維持』を、本能が求めているからではないでしょうか。人間が考え出した『神の概念』は、必ずしも『理』に適っているとは思えませんが、これを『信ずる』ことで『安泰への復帰、維持』ができるという現象は『理』に適っています。

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