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2010年10月18日 (月)

福岡伸一著『世界は分けてもわからない』(4)

『科学や工学の話はキライ』とおっしゃる方には、『一度福岡先生の本を読んでみたら』と薦めたくなります。

私たちは、日常生活の中で、最先端の研究開発者でもない限り、最新の研究成果、開発成果の詳細を知る必要には迫られません。電子工学、半導体工学、コンピュータ工学、通信工学のことは知らなくても、テレビ、パーソナル・コンピュータ、携帯電話、ゲーム機をを使いこなしています。内燃機関のことを知らなくても、車を乗り回しています。むしろ『エコ・ポイント』『エコ減税』の恩恵を受けようと、こちらの方には頭を悩ませます。

梅爺も、お医者さんに『これは血圧降下剤ですから、朝夕1錠飲みなさい』と言われれば、『血圧を下げるための基本的なカラクリ』などは、知らずに素直に従います。

しかし、福岡先生は『薬とは何か、毒とは何か』という本質を提示するために、『コンビニで売られているサンドウィッチは、何故三日も腐らないのか』という話題から初めて、やがて『腐敗とは何か、発酵とは何か』におよび、結局読者は、『微生物や酵素の関与』『腐敗と発酵は同じカラクリ』『細胞にとって薬と毒は表裏の関係』『人間は微生物との共存なしでは生きていけない事実(腸の中に、人間の細胞の数をはるかに超える微生物を保有している)』というような、『本質』を理解します(理解したような気になります)。

この『本質』を知らずに、お医者さんの云う通りに毎日素直に血圧降下剤を飲んでいた梅爺と、『本質』を知った後の梅爺では、日常の『世界観』に雲泥の差が生じます。薬に関する観方は勿論のこと、コンビニで、サンドウィッチやおにぎりを買う時の判断基準も変わってきます。

科学や工学の、一つ一つの詳細な知識はなくても、『本質』をある程度理解しておくことが、いかに重要かが分かります。

このことは、科学や工学ばかりではなく、政治や経済でも云えることではないかと梅爺は想像しています。たとえ事象の詳細を知らなくとも、ある程度『本質』が理解できていれば、『世界観』や『対応方法』が変わってくるのではないでしょうか。むしろ『本質』こそが重要なのかもしれません。政治家は、最もこの『本質』を理解する能力に長けた人でなければなりませんが、日本の現実は、『不正な収入や脱税はけしからん』などといった『井戸端会議』レベルの表面的な事象の議論にとどまっているように見えて、心配になってきます。

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