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2010年10月27日 (水)

福岡伸一著『世界は分けてもわからない』(13)

私たちの生命活動を維持するために、多数の『酵素(エンザイム)』が活躍しています。体内で作り出される酵素では足りませんよと、もっともらしい広告で脅されて、ついサプリメントを購入してしまったりしています。

胃や腸で活躍する『消化酵素』は有名ですが、何故消化酵素は、外部から摂取された動物性、植物性のタンパク質だけを分解し、人間の消化器官そのものは分解しないのだろうかと、不思議に思っています。梅爺が知らないだけで、単純な理由があるはずです。

消化は、外部から食べ物として摂取したタンパク質をアミノ酸に分解して、人間が体内で再利用するためですが、実は消化には、もっと重要な目的があることをこの本を読んで知りました。食べ物として摂取したタンパク質は、元の生物の固有情報を遺伝子として保有しているために、これを完全に『消去』することが消化の役割の一つであるということです、他の生物の遺伝子情報で、人間の細胞の遺伝子情報が、悪い影響を受けないための防御であることが分かります。

遺伝子組み換えを行った穀物、豆類は使用していませんと、食品には書いてあっても、このような穀物、豆類が家畜の飼料になっているとすれば、遺伝子組み換えが、人間に間接的な影響を及ぼすかもしれないと、心配になりますが、もし消化が完全に行われれば、人間の体内に摂取した外部のタンパク質の『遺伝子情報』は消去されるはずですので、論理的には遺伝子組み換えの影響を恐れる必要がないように思われます。遺伝子組み換えは、食糧難を解決する方法ですので、安全が確認できれば人類には朗報です。オーガニック食品しか食べないなどというのは、裕福な国の人たちの贅沢な主張です。

この他にも、細胞内のATPを分解して、エネルギーを取り出す『ATP分解酵素』もすごい酵素です。この酵素はATPを分解すると同時に、細胞内のナトリュームイオンを細胞外へ汲みだし、イオンの濃度勾配を常に作り出しています。そしてこのイオン濃度勾配こそが、生命現象の源泉になっていることをこの本で知りました。

人間という『小宇宙』は、実に驚きに満ちています。

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