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2010年10月23日 (土)

福岡伸一著『世界は分けてもわからない』(9)

福岡先生の本は、梅爺には『ワンダー・ランド』で、驚きの連続です。無知な梅爺でも、『ナールホド、そういうことか』と驚くような、親切な比喩やしかけに満ちています。そして『分子生物学』の本質は、人間や人間が構成する社会の本質にもつながることを悟り、一気に視野が広がったような喜びを感じます。

たとえば、人間の身体を構成する『タンパク質』は、DNAの情報に従って各種『アミノ酸』が組み合わされたものですが、『タンパク質』を合成するには、多大なエネルギーを必要とするのに反して、『タンパク質』を分解するには、それほどのエネルギーは必要としないというというような『事実』を知れば、そのような事例は身の周りにたくさん存在することに気付きます。

『強大を誇った国家』『全盛を極めた会社』『固い絆で結ばれた夫婦・家族』が、『思いもかけないヒョンなこと』で、アッと言う間に崩壊してしまう事例を思い浮かべることは容易です。あれほど、情熱や努力をつぎ込んで作り上げたのだから、強固に違いないと思うのは幻想で、実に簡単に崩壊してしまいます。

『秩序』が『無秩序』へ向かうのは、『エントロピー増大の法則』です。『無秩序』から『秩序』を作り出すことはこの法則に反する行為ですから、多大なエネルギーを必要としますが、『秩序』の崩壊は、ちょっとしたきっかけがあれば、法則どおりに進行するということに他なりません。この本では、『秩序』は次のように説明されます。

新しい形が生まれるということは、すなわち新しい秩序が生み出されるということである。そして秩序とは「情報」の同義語である。より精妙な秩序には、より多くの情報量が含まれる。そして秩序を産み出すには、つまり情報を作り出すにはその対価としてエネルギーが必要になる。

秩序や絆は一度できあがれば、あとは安心だと思うのは間違いで、それを維持するには多大な労力を要し、絶えず忍び寄る崩壊の要素に目を配り、排除し続けなければいけないということに気付きます。

洞察なしに、レベルの低い日本語で『キッチリ議論をして、シッカリしたルールを作るべきだ』などとおっしゃる政治家先生の言葉を聴くと、梅爺は心配になり、腹立たしくなります。『キッチリ議論』しても『シッカリしたルール』ができる保証はありませんし、いわんや『シッカリしたルール』が堅固である保証もありません。

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