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2010年10月20日 (水)

福岡伸一著『世界は分けてもわからない』(6)

細部を詳細に分析し、理解できれば、物事の本質が分かるというのは、科学の一つの考え方です。科学以外の事象にも、このルールが適応できると考える方も多いのですが、このルールは万能ではありません。

最近では、科学の分野でさえも、このルールだけでは壁を越えることができないことが明らかになってきて、『非線形科学』のように、逆にマクロな視点で全体を把握しようとする学問領域も出現しました。

http://umejii.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-ba24.html

この本の著者福岡伸一先生が専攻される『分子生物学』は、言って見れば『生命とは何か』に迫ろうとする学問分野ですから、この本の表題のように『世界は分けても分からない』典型例です。梅爺の個々の細胞をのぞいてみても、梅爺の全体像は分かりません。

『人間は60兆個の細胞でできている(毎日1兆個程度が死滅し、新しく生まれてくる細胞にとって代わられる)』『個々の細胞はタンパク質でできている』『タンパク質はアミノ酸から作られる』『アミノ酸は、水素、酸素、炭素などありきたりの材料(元素)でできている』と追いつめてみても、『生命のカラクリ』は一向に見えてこないからです。

『生命』はありきたりの材料で構成されていますが、ありきたりの材料を寄せ集めても『生命』にはなりません。多くの学者は『(ありきたりの材料)+(プラスα)』が『生命』であると思い、この『プラスα』の正体を突き止めようとしてきました。中には、人が死ぬと『プラスα』が無くなるので、その分体重が軽くなると、大真面目に考えた学者もいたいうエピソードがこの本には紹介されていて、笑ってしまいました。この学者は『霊が肉体から離れる』という宗教の教えからヒントを得たのかもしれません。

福岡先生は、この『プラスα』は、『エネルギーと情報の流れ』であると表現されています。地球上に、単細胞の『生命体』が出現して以来、この『エネルギーと情報の流れ』という仕組みが、その後出現したあらゆる『生命体』に受け継がれてきたことになります。その『生命の灯』は一度も消えたことがなく、この仕組みが、子子孫孫人間にも受け継がれ、ありきたりな材料を使って私たちの身体を作り上げているのです。

何とも、目がくらむような話です。

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