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2010年4月 4日 (日)

ホモ・フロレシェンシス(2)

インドネシアのフロレス島に、1万2千年前まで、『現生人類』以外の『人類種(ホモ・フロレシェンシス)』が生きていたという事実は、考古学的な常識を越えていますので、世界中の注目を集めました。1万2千年前の日本は、縄文人の時代です。

発見された『ホモ・フロレシェンシス』の骨は、成人女性のもので、身長が1メートル程度の『小人』であることから、『ホビット』という愛称で呼ばれています。『現生人類』に比べて、相対的に手が長く、足が短いという特徴があり、木登りが上手で、地上を走ることは得意としなかったであろうことが推察できます。人類種が、進化の過程で、『樹上生活』から『地上生活』に移行したことを考えると、この特徴は示唆に富んでいます。

『ホビット』が一番考古学者を困惑させたのは、脳の容積が400ミリリットルしかないのに、遺跡を見る限り、土器を所有し、獰猛なコモドオオトカゲの攻撃を回避し、小型ゾウを食料として狩っていたらしいことが分かったからです。『現生人類』の脳の容積は、1300ミリリットル位ですから、『ホビット』は、1/3程度で、400ミリリットル程度の脳容積は、進化のプロセスを考えると、250万年前の『人類種』に相当しますので、とても、『石器』はともかく、『土器を持つ』という文化レベルに達しているとは考えにくいことになります。

『ホビット』が、従来の考古学の定説では、『説明できない』からといって、『事実』を否定、排除できませんから、学者は、一見『例外』に見える『事実』を『例外ではない』とするための、新しい定説を組み立てようと、努力をしていることを知りました。他の科学領域同様、『例外』の発見は、新しい定説を生み出す要因になることが分かります。

フロセス島という、閉ざされた環境が、『古い人類種』を永年生存し続けさせたと考えるのが自然ですが、それでは、『ホモ・フロレシェンシス』の先祖は、一体どこから、この島へ渡ってきたのか、それはいつの頃であったのか、というような新しい疑問が沸いてきます。

勿論、まだ定説は確立していませんが、著者は、この本の中で、色々な仮説を提示しています。

『猿種(チンパンジーの先祖)』と『人類種』が、枝分かれしたのは、700から800万年前のアフリカ中部と考えられていますが、それ以来『人類種』は、地球上のどこへ、どのルートで移り住み、どのような進化を辿ったのかという全貌は、未だ分かっていません。『現生人類』は、17万年前に、アフリカ中部に出現し、7~8万年前にそこから世界中に広まっていったと考えれらていますが、それ以前の『人類種』も同じく、アフリカを基点に世界中へ拡散していったと考えられます。

日本へ最初に到達した『人類種』は、『現生人類』であったと考えられています。それ以前の『先住人類種』の化石が今のところ発見されていないからです。しかし、北京原人、ジャワ原人などアジアでも、『先住人類種』は発見されていますので、日本には達していなかった、と断言は難しいのかもしれません。人類考古学は、まだまだ謎に満ちています。

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