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2009年8月29日 (土)

ペリクレス(3)

『ペリクレス』が、優れた構想力と実行力の持ち合わせた為政者であったことは、その遺業を見ればわかります。更に『直接民主主義』の体制で、永年為政者であり続けたことは、『人徳』も兼ね備えていたのでしょう。日本の現状と比較して、羨ましくなります。

『ペリクレス』は、アテネは、陸戦ではライバルであるスパルタに勝てないと分析し、強固な城壁を建造します。その分海軍を増強し、海戦に持ち込んでスパルタを打ち負かそうと考え、当時としては画期的な、上下に3段のオールを配備した、高速戦艦を建造して待ち受けます。相手と自分の関係を冷静に分析し、強み、弱みを認識して、具体的に対応する能力は、まさしく『戦略家』です。

案の定、スパルタが攻めてきますが、陸の戦いでは無理をせず、城壁でなんとか食い止めます。

期待の戦艦で、海戦では一泡吹かせようと満をじしていたときに、アテネは思いもよらない『敵』に遭遇し、国力は急速に疲弊し、スパルタの軍門についに下ることになります。

その『敵』は、アテネの繁栄を支えていたエーゲ海を利用する海上貿易の船でもたらされた『病疫菌』でした。現在その『病疫』は『腸チフス』であったと推測されています。このため、アテネの人口は1/4に減少し、『ペリクレス』自身も、この病気で亡くなったと考えられています。

さすがに賢明な『ペリクレス』も、このような『予期せぬ敵』の出現は、見通せなかったことになります。

科学知識が増えた今日でも、人類は依然として『予期せぬ敵』の出現に遭遇し続けています。それは、地球環境の激変とそれに伴う生態系の変化であったり、新種の病原体(ウィルス)の出現であったりします。

自分で作った兵器で自滅する確率より、このような『予期せぬ敵』の攻撃で滅亡する確率の方が高いのではないでしょうか。同様に個人の死も、本人には予期できぬ原因が引き金となることが大半です。健康に留意を重ねることは、無意味ではありませんが、対応範囲は限定され、『攻撃』をすべて撃退することはできません。全てを『予知』できないのは人間の宿命ですので、自分の死に関しては、『謙虚に結果を受け入れる』以外に方法はありません。

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