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2008年11月14日 (金)

エデンを離れて(8)

この本を読んで、梅爺があらためて感じたのは、宇宙や地球の歴史に比べて、現生人類の歴史が、約20万年弱と、あまりにも短いということでした。現生人類が出現するベースになった先住人類には、先行する進化の歴史があったとしても、精々人類としては全体で200万年に過ぎません。137億年の宇宙、46億年の地球に比べれば、ほんの『一瞬』に近い時間です。

しかも、驚くべきことに、現生人類が出現した時の『脳の容量』は、現在の私達とほとんど変わっていないということです。生物体として『個体』を制御するエンジン容量(脳)は、それまでに、ほぼ『最適』なレベルまでに進化が終わっていたというように見えます。

『脳の容量』が知性に比例するとは言い切れませんが、少なくとも、17万年前の現生人類を現在に呼び寄せることができ、しかるべき訓練をすれば、現代人のように振舞える可能性があるということを意味します。

喜びや悲しみといった抽象概念を表現する『芸術』、神を崇める『宗教』などは、比較的早い時期に、その萌芽があったと想像できますが、『哲学』などの高尚な思考は精々数千年、科学知識の幅広い総合的な活用などにいたっては数百年の歴史しかありません。そう考えると、梅爺は、奇跡に近いような時代に、偶然生まれてきた人間であることがわかります。

人間が存在しない世界には、人間が作り出す抽象概念が無いわけですので、『芸術』『宗教』『哲学』は存在しない、と梅爺は推定していますが、仮に『神』は、宇宙創生の初めから存在しているとすれば、途方も無く長い期間、『愛する人類』の出現を、じっと待っていてくださったことになります。天地創造の数日後に人間が造られたわけではないからです。あまり考えたくないことですが、地球は、永いスパンで見れば、また氷河期を迎えたり、小惑星との衝突などという事故にも見舞われる可能性があり、人類は滅亡する可能性はゼロではありません。そのようなことになれば、『神』はまた、『愛する人類』を失って、寂しい時間を過ごされることになりかねません。『理』で考えればこうなりますが、『神』の存在は、このように『理』でのみ論ずる対象ではないことは承知していますし、『人間の心の中にのみ存在するものとして、人間にとっては重要な意味がある(心の安らぎを生み出す)』ということも承知しています。

この本の著者は、生物種が、環境に適応して生き残るためには、種の中に『多様性』を確保しておくことが重要と書いています。人間社会の『多様性』は、『相克』の種になり、『社会効率』を落とすことになりますが、かりに、遺伝子操作などを行って、『優秀な人間』ばかりを増やしたりすると、『多様性』が減じて、新しい細菌やウィルスの攻撃があったときに、ひとたまりもなくやられてしまう可能性が高まるというのです。一律の人間だけが存在する社会などが、到来する前に、梅爺は死ねるように願うばかりです。

そう考えれば、梅爺のような敬遠されがちな屁理屈爺さんの存在も、『多様性』に貢献しているのではないかと、都合よく、勝手に想像してしまいました。

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コメント

今回のテーマも、興味深く拝読しました。「人類の祖先はアフリカに居たらしい」は、仮説とばかり思っていましたが、今や定説になっていたのですね!。しかも、単一祖先であることを!!。
社会(経験)科学、自然科学から総合的に論証されてきたプロセスがあったのですね。
一冊の本を熟読玩味して感想や意見を開陳していることや、深い見識には感服しています。
梅翁さんのテーマには普遍的なものが多く、ブログの読者ばかりではモッタイナイと思います。バックナンバーにも珠玉の作品がたくさんあります。もし公開のご意思がおありなら、『吉祥寺村立雑学大学』を一つとしてお勧めします。
『吉祥寺村立雑学大学予定表』で検索してみて下さい。www.tokyo‐net.ne.jp/kichijoji/zatudai/  
ところで、映画を見てきました。『ヤング@ハート』、新聞では四つ星評価。ストーリーは簡単。年金生活者(平均80歳)コーラスグループの年一度のコンンサートに向けての練習風景をとらえたドキュメンタリー映画。いつか訪れる死を意識しながらも、今は生を謳歌して歌う姿に感動します。
それもクラシックではなくロックを選んでです。
ラストのコーラスに「Yes we can Yes we can can‐‐」、演説で聴いたばかり!!。元気を貰いました。 

投稿: G爺 | 2008年11月15日 (土) 06時02分

G爺さん、コメントありがとうございます。
『梅爺閑話』は、偏った興味の対象に個人的にのめりこんでいるものが多く、とても多くの読者を惹きつける内容ではないと、書いている本人が『自覚』しています。
しかし、梅爺同様に『雑学大好き』な人には、時折喜んでいただけるかも知れませんので、早速『吉祥寺雑学大学』を覗いてみます。ご紹介に感謝します。

『ヤング@ハート』は、自分も爺さん合唱団の一員なので、是非観たいと思っていました。さすがG爺さん、この映画を選ばれるとは、お目が高いですね。
『若さ』は『生』の象徴ですが、『老い』はある意味で、最も『生』が輝く時でもあるのでしょう。人間は『素晴らしく』そして『哀しい』ものなのですね。

投稿: 梅爺 | 2008年11月15日 (土) 10時51分

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