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2008年11月 7日 (金)

エデンを離れて(1)

科学は、時に人の想像をはるかに超えた『事実』を明るみに出します。地球上に生息する生物(人間も含め)の原祖先は、深海に生息するメタン生成菌のような単細胞『古細菌』であったとか、宇宙は、何もない真空空間(巨大なエネルギーの場は存在)に、突如『超ひも』という極微細物質が生まれ、それが137億年かけて現在の大きさに膨張した(今も膨張を続けている)とかが、それにあたります。

もし、論証プロセスが提示されずに、その結果だけが示されるとしたら、多くの人は『嘘も休み休みにしてほしい。とても信じられない』と答え、まだ『天地や人間は神が創造した』という話の方が、納得しやすいと考えるに違いありません。

地球上に存在する『現生人類』の、共通の祖先は、約17万年前のアフリカに居たという、同じく科学が明るみにした事実も、私達の『直感』とは、必ずしも相容れるものではありません。

西欧の白人種、東洋の黄色人種、アフリカの黒人種は、外見があまりにも異なっており、各々違う祖先から生まれたと考える方が、直感に合っているからです。現に、永年『単一祖先説』と『複数祖先説』は、学会の論争の中心でしたが、科学が『単一祖先説』であることを論証し、約20年前に決着がつきました。白人は、黒人や黄色人よりも優秀だと思い込んでいた西欧の人たちの一部は、さぞ落胆したことでしょう。梅爺も若い頃は、『複数祖先説』が正しいと想像していました。

科学が用いた方法は、生物分子学が見出したミトコンドリア(人間の細胞内にある小器官)の遺伝子と、人間の細胞の中にあるY染色体を利用する方法でした。ミトコンドリアの遺伝子は、母から子へ、Y染色体は父から子へ継承されるという事実を利用し、数学やスーパーコンピューターの力をかりて、祖先を次々に辿っていくと、17万年前(この数値の精度はそれほど高くないかも)のアフリカへ辿りつくということが判明しました。今では、かなり詳細な『現生人類系統樹』が完成しており、アフリカの祖先が、その後どのように、地球の各地に分散していったかを、推測する手がかりを提供しています。勿論、いつ移り住んだのかという『時代』までは特定できませんので、考古学的な発掘資料との突合せで、推定していくことになります。

聖書の物語になぞらえて言えば、『エデン』はアフリカで、そこに『アダムとイヴ』が存在していたことになります。

この、現生人類の『出アフリカ』の歴史を、詳細に書いた本『人類の足跡10万年全史(スティーヴン・オッペンハイマー著:仲村明子訳:草思社)』を本屋で見つけ読み始めました。

『民族』や『人種』は、人間の歴史を動かす要因であり続けてきましたが、科学的な視点からは、あまり本質的な意味を持たないことが分かります。『人間、皆兄弟』という、楽観的な政治スローガンは、梅爺の好みではありませんが、『人間、皆同種』は、科学的に立証されたことになります。

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