おくりびと
久しぶりに、素晴らしい日本映画を観ました。滝田洋二郎監督、本木雅弘主演の『おくりびと』です。梅爺の住む青梅から、車で20~30分くらいのところに、いくつかのシネマコンプレックスがあり、今回は、あきる野の近くにあるショッピングモール内のシネマコンプレックスに、梅婆と出かけました。
一時、テレビに押されてすっかり衰退してしまった日本の映画産業が、色々な努力で復興しつつあることは喜ばしいことです。最新の複数の作品の中から好きなものを選んで観ることができるシネマコンプレックス方式、妥当な料金(特に60歳以上は1000円というのもありがたい)、電子媒体使用のデジタル映像、デジタル音響などが、集客の要因のひとつになっていますが、何といっても『面白い作品』の出現が第一の要因です。
映画でしか表現できない、空想冒険活劇、大スペクタクル歴史劇なども、面白いものですが、梅爺のような歳になると、『人の情感に関する心にしみる映画』に惹かれます。
『おくりびと』は、人の死後、遺体に『死に衣装、死に化粧』を施して、納棺することを専門とする『納棺師』の話で、梅爺は、こんな職業があることを始めて知りました。何でも『様式美』にしてしまう日本人が、納棺までも『儀式』にしてしまっていることに感心しました。現在では、病院の看護婦さんや葬儀屋さんが、この種の処置をしてくれますので、多くの日本人が梅爺同様『納棺師』を知らないのではないでしょうか。この映画の舞台は山形で、こういう地方にはまだこの風習が残っているのかもしれません。
心無い言い方で恐縮ですが、『厳粛』は『滑稽』と隣りあわせで、以前伊丹十三監督も『お葬式』という映画を作り大ヒットしました。観客は、観て笑いそして泣きます。人の死は、死ぬ人にとっても大変なことですが、むしろ残された関係者の対応の中に、人間ドラマがあります。高度な『記憶能力』『情感能力』を脳に持っている人間であるからこそ、避けては通れない宿命です。
この映画の主演者、助演者(特に山崎務の演技は秀逸)の達者な演技は、日本人には、自然な会話や所作で、外国映画のような、違和感のある会話や所作ではありません。安心して観ることができます。滝田監督、音楽を担当した久石氏の力量なども素晴らしいものです。『納棺師』の話が、現代日本の色々な世相と、見事に組み合わさって展開されます。
この映画は、モントリオール映画祭でグランプリを獲得し、中国の映画祭でも、監督賞、脚本賞、主演男優賞を獲得しています。
外国人にも、日本人の『心』が理解されるということは、嬉しいことです。日本人が見直されることになるからです。このような、文化の発信こそが、本当の外交といえるのではないでしょうか。
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