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2008年6月 5日 (木)

鬼に金棒

江戸いろはカルタの『お』、『鬼に金棒』の話です。

それでなくても強いものが、更に強さを増す要素を加え、万全の体制となることを表現した諺で、説明の余地がありません。ただ、これに類する『組み合わせ』は、他にもいくらでもある中で、江戸の庶民が、外見はいかつくても、なんとなく愛嬌のある『鬼』と、いぼいぼのついた、これまた愛嬌のある『金棒』の組み合わせを選んだ、言葉選びのセンスの良さに感心します。想像しただけで、なんとなく『滑稽』な感じが伝わってきます。

同様なことを表現するのに、中国には、『虎が竜の翼を得る』という言い方があることを、昔、ある体験で知りました。その体験というのは、梅爺が、15年くらい前に、『中国に出向き、多くの中国人の前で、スピーチを中国語で行った』ことを指します。梅爺が現役の頃、中国に足しげく通って、ある大学と『ソフトウェアの合弁会社』を設立しました。その会社は、やがて3階建ての自社ビルを建てるまでに成長し、その落成式に、梅爺は呼ばれました。日本側を代表して、祝辞を述べることになり、よせばよいものを、『最後の1分間は、中国語で話す』と宣言しました。早速、その部分の原稿は、中国の方が起草し、梅爺は、出かける前に、日本で『読み方(発音)』の猛特訓を受けました。その原稿の中に、『虎が竜の翼を得る(中国と日本の強いもの同士が組んだ)』という表現がありました。

猛特訓の割には、発音が間違っていたらしく、本番では、中国人の聴衆には笑われてしまいましたが、ともかく『日本人が努力をした』ことは、評価いただけました。

『虎が竜の翼を得る』は、あまりにまともで、カッコよく気取った表現のように梅爺は感じます。中国の方は、このような表現を好まれるのかもしれませんが、同じことを、愛嬌、滑稽のニュアンスを漂わせた『鬼に金棒』と表現する日本人の心情が、梅爺は好きです。梅爺は、根っからの日本人である証拠なのかもしれません。

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