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2008年5月 8日 (木)

清く正しく美しく(2)

男性だけで構成される日本伝統の歌舞伎に対抗して、若い女性だけで歌劇団を構成するという小林一三氏の発想は、ユニークで世界に類を見ません。梅田の繁華街やデパートの隣に大劇場を造ろうと、普通は集客を考えたら発想するはずですが、梅田は、黙っていても誰もが電車を利用する場所なので、むしろ辺鄙(当時)な宝塚に大劇場を造って、『電車を利用してもらう』つまり『電車が乗客を創造する』という経営哲学を実行したことになります。

若い女性だけできらびやかな舞台を作り上げれば、若い女性の観客はあこがれて、女性同士の友達を誘って見に行くであろうと読んだはずです。当時の日本では、若い女性だけで、観にいける興行モノは少なかったはずですから、今で言えば『新しい市場の開拓』をしたことになります。多分、阪急沿線の神戸や芦屋に住まう良家で、裕福な家庭の娘達をターゲットにしたのでしょう。男の役者に娘が入れあげたら、親は眉をひそめたことでしょうが、女性の『男役』に娘達が、『キャーキャー』騒いでいる分には、親は安心して、娘の外出を許可したのではないでしょうか。

小林一三氏は、更に、子供づれの家族客を増やすために、宝塚に遊園地も造り、『安定した市場創出』のために、念には念を押しています。

少女歌劇も、いい加減な内容では、繰り返し顧客の獲得ができませんので、『宝塚音楽学校』を開設し、本格的に、『歌って、踊って、演技ができ、美人で頭がよいスター』を次々に排出する仕組みも作り上げました。

『清く、正しく、美しく』というモットーを聴けば、娘が宝塚に入団したいと言い出しても、親の反対は少なかろうと読んだのかもしれません。総合的なマーケティング能力に優れた経営者の典型を見るような気がします。

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