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2008年2月22日 (金)

福岡伸一氏の本再び(3)

勿論プリシナーは、『ハッタリの決め付け』だけでノーベル賞を受賞したわけではなく、脳内に蓄積された異常タンパク質に関する、新しい事実の発見などに功績を残しています。

福岡氏は、プリシナーの論文を細かく検証し、論理的な帰結ではない『決め付け』の部分や、恣意的なデータの提示方法(グラフの横軸、時間軸を対数表示にして、二つの事象が相関を持つように見せかけるなど)の不備を次々に暴いていきます。刑事コロンボが、犯人のアリバイを崩していくようで読者はワクワクします。

見つかった新しい事実や、過去の知識を含め、『納得がいく対抗仮説』を福岡氏は提示します。見つかった異常タンパク質は原因ではなく結果で、本当の病原菌は新種のウィルスであろうという内容です。このウィルスが最初は生物のリンパ体に取り付き、徐々に侵攻してやがては脳にたどり着き、正常なタンパク質を、異常に変えて『脳スポンジ症』を発症させるという『仮説』です。この自説を証明しようと、福岡氏は、気も遠くなるような実験を繰り返しますが、残念ながら、ウィルスの正体は、科学的に未だ突き止められていません。論理的には、ウィルスとしては最も小さい類(たぐい)に属すると推測されています。

この種の実験は、遺伝子組み換えを行った多量なマウスを用い、その他にも最先端化学を駆使した、時間とお金のかかるものであることを梅爺は始めて知りました。途中での一つのプロセス・ミスもゆるされない、いわば、砂浜から一粒の砂金を見つけるような作業です。真理追究の執念がなければ、こんなことに根気は続きません。

福岡氏は、他人の業績をただ紹介する評論家タイプの『先生』ではなく、傷つくことも承知で、自分が納得できる真実を追い求める『行動派の学者』であることに、敬意を表したくなります。ただ、残念なことに、梅爺は、プリシナーと福岡氏のどちらが、正しいのかを、推測する能力さえ持ち合わせていません。しかし、この本のおかげで梅爺は、いっぱしの『プリオン』通になったような気がしています。

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